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救命用の「自己注射」を承認 食物アレルギーで「ショック」症状/そんな時のために |
| 食物アレルギーによる重い「アナフィラキシー」救命用の「自己注射」(成分名エピネフリン、製品名は「エピペン」)が3月に厚生労働省薬事食品衛生審議会で承認され、5月にも実際に処方できることになった。 「アナフィラキシー」は時に命にかかわり、発症から30分以内のエピネフリン注射が不可欠なだけに患者や家族にとっては朗報。「自己注射」解禁については、行き詰まっていた適正使用のための環境整備を公明党「アレルギー疾患対策プロジェクト」(江田康幸座長=衆院議員)が強く後押しし、早期承認が実現した。 『アナフィラキシー・ショック/30分以内の注射が不可欠』 食物アレルギーは、体に備わった免疫機能の異常がもたらす疾患の一つで、卵や乳、小麦、ピーナツなど本来なら栄養になるべき食べ物が原因でさまざまなアレルギー症状を引き起こす。 小児期に発症することが多いものの、最近では高齢者まで各世代にわたり発症する人が増えている。 また乳児期のアトピー性皮膚炎の7割程度に食物アレルギーが関与しているとされる。 食物アレルギーの症状は、湿疹、じんましん、痒みといった皮膚症状が多く、下痢や腹痛などの消化器症状、くしゃみ、せき、ぜん鳴などの呼吸器症状が現れる場合もある。特に重い場合は「アナフィラキシー・ショック」といって呼吸困難、血圧低下、意識消失など生命にかかわる症状を引き起こし死亡例も報告されている。 この中で注目されるのは、症状が発現してから病院に搬送され、「エピネフリン」を投与されるまでに、いずれも30分以上が経過していること。ショックの既往歴があり、「自己注射」を携帯していれば命を失わずに済んだ可能性もある。 『公明/承認へ環境整備を後押し』 エピネフリンの「自己注射」については、林業従事者がハチに刺された際のハチ毒アレルギーによる「アナフィラキシー反応」の補助治療剤として、2003年8月に承認されていた。 ところが、同年12月に出された食物アレルギー、薬物アレルギーによる「アナフィラキシー反応」への適用拡大の申請については、「適正使用の対策で、さらなる慎重な検討が必要。特に小児用については、継続審査することが適切」という理由で却下された。 また一時検討された、特定療養費の適用拡大で使用できる道を開く方策も、「自己注射」に保険が適用されていないという理由で立ち消えとなった。 暗礁に乗り上げた追加承認に道が開けたのは、昨年2月19日、患者や家族の強い要望を受け、公明党「アレルギー疾患対策プロジェクト」が呼び掛けて行った、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会首脳と厚生労働省の担当官との直接の話し合いだった。 席上、江田座長が論議をリードする形で、焦点の「適正使用」について「本人と家族に限って打つことができる」とすることを「承認のための環境整備」とする。さらに学校保健会を通じて学校での薬剤の保管、教職員による援助を学校に要請するなどの環境整備を行うことで一致。 その内容を具体化する論議、作業を経て、3月4日、異例の早さで、食物および薬物アレルギーによる「アナフィラキシー反応」への適用が承認された。 承認された「自己注射」は「エピペン0・3ミリグラム」と小児用の「エピペン0・15ミリグラム」、ペン型の注射器を太ももに押し付けると針が飛び出し薬液が注射される。 『党アレルギー疾患対策PT座長、衆院議員/江田康幸氏』 『「第三者が投与」可能にする法整備が必要』 最近、食物アレルギーに悩む子どもが増えています。卵やそばなどのアレルゲンを誤って摂取してしまい、意識障害や血圧低下を伴う「アナフィラキシー」を起こして死に至る事故も毎年のように報告されています。 いつでもどこでも起こり得る「アナフィラキシー」に緊急対処するために、欧米では携帯用の「エピネフリン自己注射剤」が承認されていますが、日本ではハチに刺された場合の使用しか認められておらず、しかも成人に限られていました。 そこで、食物アレルギーなどに対しても広く使えるように、政府やアレルギー学会と協議を重ね、承認条件である適正使用の環境を整えてきました。今般、エピネフリン自己注射剤が食物および薬物等に起因する「アナフィラキシー反応」の補助治療薬として、広範な使用目的で承認されたことは画期的であり、アレルギーの子どもをもつお母さん等の不安を和らげてくれるものと確信します。 エピネフリン自己注射剤は「アナフィラキシー」という生命を脅かす緊急時に使用する薬剤であるため、患者本人はもとより、患者の保護者または周りにいる人々の迅速なサポートが求められます。 今後は、「アナフィラキシー」の対応ガイドラインに沿って学校関係者や救急救命士など広く教育啓発を行うとともに、患者が意識を失っている場合に本人に代わって注射する第三者が保護されるための環境整備(家族の同意制度等)や法整備を進める必要があります。さらには、救急救命士がエピネフリンや自己注射剤を投与できるように法整備を急がなければならないと考えます。 『日本小児アレルギー学会理事長、国立病院機構福岡病院長/西間三馨氏』 『“予測できない死”回避できる画期的意味』 食物アレルギーによる「アナフィラキシー・ショック」のように、予測できない形で死に直面する病気があります。それを緊急に回避できる薬が承認された、それも今までなかった「自己注射」という剤型で承認された意味は非常に大きく、画期的です。 これから医療側は十分な説明の上で処方を行い、患者も自らの責任で治療を理解する、そして、実際にはどこで使われるか分からないので、周囲にいる人がサポートできるような教育が必要になります。互助的な社会という意味で、それができる社会こそが良い社会だと期待が膨らみます。 差し迫った課題として保育園、学校などでどう対応してくれるかが問題になりますが、例えば本人が既に意識を失っているような場合、本来なら自分で打つべき注射を第三者が打った時に起きたことは、個人ではなく社会が責任を負う、社会に成り代わって操作したという理解に基づく法整備も必要になります。 もう一つ、早く救急救命士が打てるようにしていただきたい。注射し酸素吸入しながら搬送することが大切だからです。 |
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