| 2004/03/08●公明新聞より |
| VDT症候群への対策強化を
放置できない健康被害の拡大 |
| 幅広い心身の症状
パソコンの普及などを背景に、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群と呼ばれる健康被害が増えている。 VDTは、パソコンやテレビゲームなどの画面を表示する機器のことで、VDTを使った作業、例えばデータの入力・検索・照合、文章・画像の作成・編集、プログラミング、監視などの作業によって起こる疲れ目や心身の不調をVDT症候群と呼んでいる。 具体的な症状は、充血やかすみ目、視力低下などの目の症状と、首、肩、腕の痛みや頭痛、食欲不振、便秘などの身体の症状に分かれる。病状が進行すると、精神的なイライラや不眠、抑うつ状態に至り、長期的な休養を余儀なくされる例もある。 目の症状は、集中して画面を見続けるために、まばたきの回数が通常の4分の1程度に減り、目が乾燥してしまうことなどが原因だ。また、長時間同じ姿勢で画面とキーボード、書類との間で視線を移動させながら、作業を続けることも、心身に大きなストレスを与えている。 パソコンに向かって、目の疲れを感じたり、目がかすんだり、ピントが合いにくくなったりすることは、多くの人が日常的に感じていることではないだろうか。そうした意味では現代人の多くは、VDT症候群と隣り合わせで生きている。 VDT作業による心身のストレスが問題になり始めたのは、1990年代からだ。VDT症候群自体は今に始まった健康被害ではないが、当時と比べて社会状況は大きく変化した。 ノート型パソコンや携帯情報端末が普及し、インターネットやメールを楽しむことが普通の世の中になったほか、多くの職場で「一人1台」のパソコン環境となった。つまり、IT(情報技術)化の浸透で、VDT作業の従事者、あるいは日常的にVDTに接する人が急激に増加したといえる。 これに加えて、近年の職場のリストラがVDT症候群の増加に影響を与えているのではないかと考えられる。少ない人手に過重なVDT作業が強いられ、心身にダメージを受けている人が数多くいるのではないだろうか。 大事なのは、何といっても予防だ。厚生労働省は02年4月、VDT作業従事者の心身の負担を軽減し、作業を支障なく行えるようにするための「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を新たに策定した。 いわば会社側の予防策をまとめたもので、作業時間の管理の仕方や作業環境、VDT機器の調整、健康診断、健康相談、教育など幅広く対策が示され、医療関係者からも評価されている。 問題なのはガイドラインが現場に浸透していないことだ。労使ともに、ガイドラインの存在をどれだけ認識しているだろうか。厚労省にはVDT症候群の実態把握とともに、事業者へのガイドラインの啓発を強化してもらいたい。 労使とも意識高めて VDT症候群は現代病であり、社会のIT化の進展で、さらなる健康被害の拡大が懸念される。 労働者の側も、(1)1時間作業したら10〜15分程度は遠くの風景を見たり、目を閉じて休息する(2)目の乾きを防ぐために目薬をさす(3)適度な運動で身体をほぐす――など、自己管理に努めたい。 |