| 2005/06/03●公明新聞より |
| 陰湿で深刻な高齢者虐待 急速に表面化している高齢者虐待 |
| 家庭内で虐待を受けている高齢者の約1割が「生命に関わる危険な状態」にあるなど、実態は深刻だ。公明党は先の衆院選で掲げたマニフェスト(政策綱領)で高齢者虐待防止法の制定を提唱。今年3月には、自民党とともに与党プロジェクトチームを結成し、今国会中の法案成立に全力を挙げている。高齢者虐待の実態、法整備に向けた公明党の取り組みなどを紹介する。 『厚労省調査』 『「生命の危険」1割も』 『半数以上が加害者の自覚なし』 2000年4月、介護保険法が施行され、ケアマネジャーや、ヘルパーなどによる要介護者の家庭訪問がスタートしたことにより、陰湿で深刻な虐待の実態が浮き彫りになってきた。 身体的虐待や心理的虐待、性的虐待、経済的虐待のほか、介護・世話の放棄・放任などの具体的な事例<表参照>が少しずつ明らかになっており、早急な対応を必要とするケースも少なくない。 虐待の実態は、厚生労働省の初の全国実態調査で明らかになった。調査は03年11月から04年2月にかけ、在宅介護サービス事業所などの関係機関1万6802カ所を対象に実施、昨年3月に報告書がまとめられた。 このうち、ケアマネジャーが担当する1991件の高齢者虐待事例の分析によると、虐待を受けている高齢者の平均年齢は81・6歳。性別では男性が23・6%に対し、女性が76・2%を占めた。主な加害者と虐待される高齢者本人の続柄は、息子が32・1%と最も多く、次いで息子の配偶者(嫁)が20・6%、配偶者が20・3%(夫11・8%、妻8・5%)、娘が16・3%の順だった。 虐待の内容(複数回答)は、心理的虐待が63・6%と最も多く、介護・世話の放棄・放任が52・4%、身体的虐待が50・0%と続き、経済的虐待も22・4%あった<グラフ参照>。具体的には、「暴言、威圧、侮辱、脅迫」が53・6%、次いで、「傷にならない程度の暴力的な行為」が37・3%、「入浴・排泄介助放棄で不衛生状態」が25・1%と多かった。虐待の頻度は「いつも・毎日」が40・2%を占めた。 最も深刻な虐待の状態は「心身の健康に悪影響がある状態」が51・4%、「意思が無視・軽視されている状態」が30・8%、「生命に関わる危険な状態」が10・9%もあった。 また、高齢者本人に虐待を受けている自覚があるかという問いには、「自覚はない」が29・8%に対し、「自覚がある」が45・2%と半数近くに。加害者が虐待の自覚を持っているかは「自覚はない」が54・1%と半数を超え、介護者への意識啓発などの取り組みが急がれる。 一方、こうした虐待に対し、担当ケアマネジャーに対応を聞いたところ、「現在、改善に向けて取り組んでいる」が51・8%と半数を超えた。問題解決のための虐待者への働き掛けは(複数回答)、「介護負担を軽減するサービス利用を勧めた」が63・5%、次いで「気持ちの理解に努めた」が58・4%、「相談に十分にのった」が41・0%だった。さらに、対応の難しさでは「極めて対応に苦慮した」が45・0%、「多少の難しさを感じた」が43・0%で、約9割のケアマネジャーが対応に難しさを感じている。 『与党、今国会で法制化へ』 『市町村に立ち入り調査権/発見者に通報義務課す』 自民、公明の与党「高齢者虐待防止に関するプロジェクトチーム」(馳浩座長=自民党)は、高齢者の虐待防止に向け、今国会での法案成立に全力を挙げている。 公明党から福島豊厚生労働部会長、渡辺孝男、江田康幸の両副部会長、古屋範子高齢者虐待防止対策ワーキングチーム座長が出席し、法案の内容を検討してきた。 今年2月2日の与党政策責任者会議で与党PT設置に合意。3月9日に初会合を開いて以降、両党間で頻繁に法案内容の論点整理を進めてきた。5月26日には「高齢者虐待の防止、高齢者を養護する者に対する支援等に関する法律案」をまとめ上げ、与党PTとして了承にこぎ着けた。今後、野党と法案内容の調整を進め、各党賛成の上での委員長提案の形で法案成立を目指している。 法案には、高齢者の虐待防止と、養護者に対する支援の両面を盛り込み、虐待の定義を明示。虐待の早期発見に向けた取り組みでは、身体に重大な危険が生じている虐待の発見者に市町村への通報義務を課したほか、虐待の恐れがある場合には市町村による立ち入り調査を認めた。 また、施設職員による虐待発見者の通報義務と解雇などの不利益な取り扱い禁止規定や、罰則などを盛り込んだ。 『公明が法整備をリード』 『党高齢者虐待防止対策ワーキングチーム座長/古屋範子衆院議員』 公明党の高齢者虐待防止への真剣な取り組みは、2004年2月に、浜四津敏子代表代行らとともに厚生労働省に坂口力厚労相(当時、公明党副代表)を訪ね、高齢者虐待に対する法整備の遅れを訴え、虐待防止に向けた取り組みの強化を申し入れたことから始まりました。 公明党は先の衆院選マニフェストでも法整備を提唱していたことから、同年3月、党高齢者虐待防止対策ワーキングチーム(WT)を発足。虐待の早期発見、保護への具体的な仕組みづくりや法整備に向けた意見交換を開始しました。虐待防止団体の視察や専門家からのヒアリングを重ね、同年11月には党WTとして法案の要綱案を作成。そして今年3月には、公明党の呼び掛けにより、与党PTが設置され、5月末には法案をまとめ上げることができました。 法律をつくることによって、隠れていた虐待の実態が浮かび上がってきます。高齢者の人権を断じて守るため、私たち政治家の責務として、法案成立に全力を挙げてまいります。 |