| 2005/10/06●公明新聞より |
| 解説ワイド/総合的なアレルギー疾患対策 予防重視、QOL向上へ国が「報告書」 |
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ぜん息や花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどアレルギー疾患で悩む人は国民の3分の1を超える。 予防重視の医療への転換、国民のQOL(生活の質)向上の視点からの総合的な対策が不可欠だ。こうした要請から厚生労働省の厚生科学審議会「リウマチ・アレルギー対策委員会」は先ごろ報告書をまとめ、今後5年間をめどに推進する総合的な施策を打ち出した。 公明党の従来からの主張を受けた「報告書」を紹介。併せて、党アレルギー疾患対策プロジェクトの江田康幸座長(衆院議員)に聞いた。 『現状の分析』 『3人に1人が罹患/生活の質も低下』 |
| リウマチ、アレルギー疾患に分けて記述した「報告書」は、アレルギー疾患に関する記述の冒頭で、患者の動向を分析している。 それによると、1992〜94年度にかけて行われた厚生科学研究の全国調査で、何らかのアレルギー疾患を有する人は、乳児=28・9%、幼児=39・1%、小児=35・2%、成人=29・1%の高率に上ることが明らかに、また2002年度の保健福祉動向調査でも、何らかのアレルギー様症状を持つと答えた人が調査対象の35・9%に達するなど、国民の3人に1人を超える人が、何らかのアレルギー疾患で悩んでいることが分かっている。 これだけ多くの人が罹患している半面、一般に命にかかわることが少ないと軽視されがちなアレルギー疾患だが、減少傾向にあるとはいえ、ぜん息で死亡する人は今も年間3000人を超える。食物アレルギーでも重いショックに陥り死亡する症例が報告されている。 数字には表れてこない日常生活面への影響でも、食物アレルギーで幼稚園や保育園の入園を拒否される、学校で友だちと同じ給食を食べられず、あるいはアトピー性皮膚炎を理由にいじめに遭う、成人でもアトピー性皮膚炎を悪化させて退職に追い込まれ自宅に引きこもってしまうといった深刻な実態もある。 報告書は、こうした現状から、「今後のアレルギー疾患対策について要望があると答えた者は全体の57・5%に上り、『医療機関(病院・診療所)にアレルギー専門の医師を配置してほしい』『アレルギーに関する医薬品の開発に力を入れてほしい』『アレルギーに関する情報を積極的に提供してほしい』といった内容」(保健福祉動向調査)が国民から求められていると分析している。 『今後の取り組み』 『「戦略的に推進されず」と反省』 『国と自治体が分担・連携』 (1)適切な医療の提供 (2)情報提供・相談体制の整備 (3)研究、医薬品の開発 報告書は、現状のアレルギー疾患対策について「必ずしも戦略的に推進されておらず、患者への医療提供等について患者のニーズに対応できていない面があり、問題を残している」と率直に認め、その上で医療体制や情報提供・相談体制の確立、根治療法の確立へ向けた研究体制の整備など幅広い内容を提言している。 現状の具体的な問題点について報告書は、アレルギー疾患の診療可能な医療機関が偏在し「地域において体系立てて計画的に整理されていない」、医師の資質についても重症化を防ぐためには早期診断・早期治療が重要であるにもかかわらず「必ずしも全ての医療機関において診療ガイドラインを活用した標準的な医療の提供がなされていない」などと分析。インターネットの普及に伴う医療ビジネスや民間療法などに関する情報のはんらん、カウンセリングなど心理的支援に留意した相談体制の不備なども挙げている。 その上で、今後5年間で重点的に取り組む対策の基本的方向性を「自己管理が可能な疾患へ」と定め、国と自治体の役割分担・連携の中で、(1)医療の提供(2)情報提供・相談体制(3)研究開発および医薬品開発の推進――を進めるとした。 このうち医療の提供では「かかりつけ医を中心とした医療体制の確立」を掲げ、症状の安定時には、かかりつけ医による診療が望ましいとする一方、重症・難治の患者や症状の増悪時に連携、専門的な医療を提供できる専門医療機関を医療圏ごとに確保、さらにそうした専門医療機関を支援する都道府県単位の専門医療機関のネットワークの構築を目標に掲げた。 情報提供・相談体制の整備では、患者の「自己管理」を可能にするような啓発・教育資材を国が日本アレルギー学会などと連携して作成し都道府県や医療従事者などに配布、都道府県は国の取り組みを踏まえて、医師会や関係学会と連携した研修会を通し、保育所・学校(PTAなど)、職域や地域(子ども会)における自己管理手法の普及を図るとした。相談体制については、十分に機能していない現状を踏まえ「都道府県においては体系的なアレルギー相談体制の構築について検討し実施することが望ましい」とし、自治体の取り組みを促した。 今回の「報告書」取りまとめに当たり厚労省は、都道府県の取り組みを促すため「アレルギー疾患対策の方向性等」と題した文書を、今月中にも都道府県にあてて発出する。厚労省は、政策評価を通じて自治体による施策推進を促すことにしている。 |
『党アレルギー疾患対策プロジェクト座長/江田康幸衆院議員に聞く』 |
| 『公明の主張に沿う内容』 『医療体制のネットワーク構築地方議会で推進を』 ――「報告書」をどう評価しますか。 江田 公明党は2001年に「アレルギー制圧10カ年戦略」をまとめて国に提示して以来、その実現を毎年の予算要望などを通じて国に求めてきました。その大きな柱の一つが総合的な施策の推進であり、その意味で今回、厚生労働省が初めて総合的なアレルギー疾患対策を「報告書」にまとめ、推進するとしたことには画期的な意義があります。 アレルギー疾患対策の重要課題は、患者に正しい情報を提供し適切な診断・治療を行える地域の医療体制づくりにあります。そのためには国と自治体が協力して専門医を育成し、基幹病院に配置するとともに、国の政策医療を担う「免疫異常ネットワーク」病院との連携を確立、さらには、すべての保健所等にアレルギー相談員を配置し、学校での健康教育を進めるなど地域での取り組みが柱になります。 公明党は再三にわたり、こうした施策の推進を国に要望してきましたが、その骨格が今回、総合的な対策としてまとめられました。 ――「報告書」のポイントは? 江田 報告書の内容が「アレルギー疾患対策の方向性等」という形で自治体に通知され、今後5年間を視野に入れた総合対策が実現に向かうことになります。国、自治体が連携しながら取り組むことにもまた大きな意味があると思います。 この点でも公明党の主張に沿う内容になっています。今後、国は自治体が行う施策の政策評価を行うことで、取り組みの遅れを指導する。逆に地域での良い事例については、それを提示することで他の自治体の取り組みが進む相乗的な効果も期待されます。 中でもポイントは、地域のかかりつけ医を中心にした医療提供体制を確立し、重症・難治の患者については2次医療圏ごとに整備を進める専門医療機関につなげていく、そのネットワークを医療計画などを活用して地域で確立することにあります。 来年に予定される医療制度改革の中で医療提供体制の在り方が論議され、そこには医療計画も含まれます。地域保健医療協議会などを通じ、都道府県がどうネットワークをつくるかが問われます。さらに専門医療機関を支援できる病院を都道府県単位を基本に整備することも課題です。実効性が伴う相談体制の整備も課題になります。 ――その意味では自治体の取り組みが重要ですね。 江田 施策の推進を行政に任せてよいかといえば、それでは不十分です。この点は、「ネットワーク政党」として公明党が力を発揮しなければならない課題であると思います。各地の推進状況はどうかなどについて、国会、地方議会で積極的、活発に取り上げ、政治主導で推進していきたい。それができるのは公明党しかありません。 ――検討すべき課題はこれで十分ですか。 江田 もう一つの大きな課題は、今後、文部科学省も歩調を合わせ、本格的に取り組んでいく必要があります。アレルギー疾患は子どものころに発症することが多く、子どもたちが多くの時間を過ごす学校、幼稚園などでの対応が重要です。 公明党は従来から内閣府に対策本部を設置して中長期的なアレルギー総合戦略を立てるべきだと主張してきました。関係省庁、中でも厚労省と文科省は一致した取り組みを進める必要があります。今後、文部科学省に対しても、しっかりとした政策の立案を促していきたいと思います。 |