食物アレルギーの専門家「海老澤氏」を招き、緊急時の対策など議論


▲エピネフリンの使用テストを行う(右から)江田座長、浜四津代行ら
 公明党アレルギー疾患対策プロジェクトチーム(座長=江田康幸衆院議員)は2005年5月23日、衆院第1議員会館で会合を開き、食物アレルギーとアナフィラキシーの現状と対策について国立相模原病院臨床研究センター・アレルギー性疾患研究部長の海老澤元宏氏から話を聞き、意見交換した。

 浜四津敏子代表代行、江田座長のほか、古屋範子、高木美智代の両衆院議員、渡辺孝男、山下栄一、鰐淵洋子の各参院議員、首都圏の地方議員の代表らが参加した。

 海老澤氏は、0〜1歳児の10人に1人が食物アレルギーを持つとの推測を示し、「一般的な問題として、すべての医師や子どもの養育に関わる人たちに正しい知識を持ち、対応してもらいたい」と強調。早期対応で9割が治癒できるとし、医師の研修や診療報酬の見直しなどを訴えた。

 また会合では、緊急時に自己注射で投与するエピネフリン(今年=2005年=3月に厚労省が承認)の使用テストを行い、学校への理解を図ることを確認。

 浜四津代行は松本市などで実施しているアレルギー対応給食の取り組みを広める考えを示した。

日本小児アレルギー学会の西間理事長「アレルギー疾患は世界的に増加」


▲西間氏(右端)が講演した党プロジェクトチームの会合=27日 衆院第一議員会館
 公明党のアレルギー疾患対策プロジェクトチーム(座長=江田康幸衆院議員)は2005年5月27日、衆院第1議員会館で会合を開き、日本小児アレルギー学会理事長で福岡病院長の西間三馨氏が、アレルギー疾患の推移と今後の予測などをテーマに講演した。

 浜四津敏子代表代行、坂口力副代表、江田座長、古屋範子PT事務局長をはじめ多数の衆参国会議員と地方議員の代表が参加し、活発に意見交換した。

 西間氏は、アレルギー疾患が全世界的に増加し、住環境や食生活の変化などにより「アレルギーを起こしやすい環境になっており、今後も増える」との推測を示す一方、ぜんそくによる死亡率が低下するなど治療も前進していることを報告。

 また西間氏は、食物アレルギーによるショック時に自己注射できるエピネフリンが公明党の尽力で認可されたとして「画期的なこと」と評価。さらに、小児慢性特定疾患に関する公明党の取り組みに謝意を示した。

 議員からは、学校や自治体の取り組みなどについて質問が出されたのに対し、西間氏は、「的確な情報提供など環境整備が大事」と強調した。

秋山相模原病院臨床研究センター長「アレルギー予防へ長期戦略必要」


▲秋山氏(右端)を講師にアレルギー対策の課題などで意見を聞く党プロジェクトチーム
 公明党のアレルギー疾患対策プロジェクトチーム(PT、座長=江田康幸衆院議員)は2005年5月30日、衆院第1議員会館で会合を開き、国立病院機構・相模原病院臨床研究センター長の秋山一男氏から、アレルギー対策の現状と問題点について講演を聞き、意見交換した。浜四津敏子代表代行、坂口力副代表と江田座長、古屋範子PT事務局長ら公明党議員が多数参加した。

 秋山氏は講演で「アレルギー疾患対策の最終目標は発症の予防、治癒法の確立を実現すること」とし、(1)疫学(2)診断(3)治療(4)予防(5)病態発症のメカニズムの研究(6)医療体制――の各分野でそれぞれ、長期的戦略の設定が必要であることを強調。特に医療体制の分野については、ぜんそくの発作時と慢性期の診療体制の確立や、患者への情報提供のあり方、患者のQOL(生活の質)向上と医療経営効果との矛盾の改善などを強く指摘。「立法の面からご努力いただきたい」と政策的対応を要請した。

食物アレルギーで「ショック」症状/救命用の「自己注射」を承認

  食物アレルギーによる重い「アナフィラキシー」救命用の「自己注射」(成分名エピネフリン、製品名は「エピペン」)が2005年3月に厚生労働省薬事食品衛生審議会で承認され、5月にも実際に処方できることになった。

 「アナフィラキシー」は時に命にかかわり、発症から30分以内のエピネフリン注射が不可欠なだけに患者や家族にとっては朗報。「自己注射」解禁については、行き詰まっていた適正使用のための環境整備を公明党「アレルギー疾患対策プロジェクト」(江田康幸座長=衆院議員)が強く後押しし、早期承認が実現した。

 『アナフィラキシー・ショック/30分以内の注射が不可欠』

 食物アレルギーは、体に備わった免疫機能の異常がもたらす疾患の一つで、卵や乳、小麦、ピーナツなど本来なら栄養になるべき食べ物が原因でさまざまなアレルギー症状を引き起こす。
 小児期に発症することが多いものの、最近では高齢者まで各世代にわたり発症する人が増えている。
 また乳児期のアトピー性皮膚炎の7割程度に食物アレルギーが関与しているとされる。

 食物アレルギーの症状は、湿疹、じんましん、痒みといった皮膚症状が多く、下痢や腹痛などの消化器症状、くしゃみ、せき、ぜん鳴などの呼吸器症状が現れる場合もある。特に重い場合は「アナフィラキシー・ショック」といって呼吸困難、血圧低下、意識消失など生命にかかわる症状を引き起こし死亡例も報告されている。

 この中で注目されるのは、症状が発現してから病院に搬送され、「エピネフリン」を投与されるまでに、いずれも30分以上が経過していること。ショックの既往歴があり、「自己注射」を携帯していれば命を失わずに済んだ可能性もある。

 『公明/承認へ環境整備を後押し』

 エピネフリンの「自己注射」については、林業従事者がハチに刺された際のハチ毒アレルギーによる「アナフィラキシー反応」の補助治療剤として、2003年8月に承認されていた。

 ところが、同年12月に出された食物アレルギー、薬物アレルギーによる「アナフィラキシー反応」への適用拡大の申請については、「適正使用の対策で、さらなる慎重な検討が必要。特に小児用については、継続審査することが適切」という理由で却下された。
 また一時検討された、特定療養費の適用拡大で使用できる道を開く方策も、「自己注射」に保険が適用されていないという理由で立ち消えとなった。

 暗礁に乗り上げた追加承認に道が開けたのは、昨年2月19日、患者や家族の強い要望を受け、公明党「アレルギー疾患対策プロジェクト」が呼び掛けて行った、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会首脳と厚生労働省の担当官との直接の話し合いだった。

 席上、江田座長が論議をリードする形で、焦点の「適正使用」について「本人と家族に限って打つことができる」とすることを「承認のための環境整備」とする。さらに学校保健会を通じて学校での薬剤の保管、教職員による援助を学校に要請するなどの環境整備を行うことで一致。

 その内容を具体化する論議、作業を経て、3月4日、異例の早さで、食物および薬物アレルギーによる「アナフィラキシー反応」への適用が承認された。
 承認された「自己注射」は「エピペン0・3ミリグラム」と小児用の「エピペン0・15ミリグラム」、ペン型の注射器を太ももに押し付けると針が飛び出し薬液が注射される。

 『党アレルギー疾患対策PT座長、衆院議員/江田康幸氏
 『「第三者が投与」可能にする法整備が必要』


 最近、食物アレルギーに悩む子どもが増えています。卵やそばなどのアレルゲンを誤って摂取してしまい、意識障害や血圧低下を伴う「アナフィラキシー」を起こして死に至る事故も毎年のように報告されています。

 いつでもどこでも起こり得る「アナフィラキシー」に緊急対処するために、欧米では携帯用の「エピネフリン自己注射剤」が承認されていますが、日本ではハチに刺された場合の使用しか認められておらず、しかも成人に限られていました。

 そこで、食物アレルギーなどに対しても広く使えるように、政府やアレルギー学会と協議を重ね、承認条件である適正使用の環境を整えてきました。今般、エピネフリン自己注射剤が食物および薬物等に起因する「アナフィラキシー反応」の補助治療薬として、広範な使用目的で承認されたことは画期的であり、アレルギーの子どもをもつお母さん等の不安を和らげてくれるものと確信します。

 エピネフリン自己注射剤は「アナフィラキシー」という生命を脅かす緊急時に使用する薬剤であるため、患者本人はもとより、患者の保護者または周りにいる人々の迅速なサポートが求められます。

 今後は、「アナフィラキシー」の対応ガイドラインに沿って学校関係者や救急救命士など広く教育啓発を行うとともに、患者が意識を失っている場合に本人に代わって注射する第三者が保護されるための環境整備(家族の同意制度等)や法整備を進める必要があります。さらには、救急救命士がエピネフリンや自己注射剤を投与できるように法整備を急がなければならないと考えます。

 『日本小児アレルギー学会理事長、国立病院機構福岡病院長/西間三馨氏』
 『“予測できない死”回避できる画期的意味』


 食物アレルギーによる「アナフィラキシー・ショック」のように、予測できない形で死に直面する病気があります。それを緊急に回避できる薬が承認された、それも今までなかった「自己注射」という剤型で承認された意味は非常に大きく、画期的です。

 これから医療側は十分な説明の上で処方を行い、患者も自らの責任で治療を理解する、そして、実際にはどこで使われるか分からないので、周囲にいる人がサポートできるような教育が必要になります。互助的な社会という意味で、それができる社会こそが良い社会だと期待が膨らみます。

 差し迫った課題として保育園、学校などでどう対応してくれるかが問題になりますが、例えば本人が既に意識を失っているような場合、本来なら自分で打つべき注射を第三者が打った時に起きたことは、個人ではなく社会が責任を負う、社会に成り代わって操作したという理解に基づく法整備も必要になります。

 もう一つ、早く救急救命士が打てるようにしていただきたい。注射し酸素吸入しながら搬送することが大切だからです。

総合的なアレルギー疾患対策/予防重視、QOL向上へ国が「報告書」 作成

 ぜん息や花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどアレルギー疾患で悩む人は国民の3分の1を超える。

 予防重視の医療への転換、国民のQOL(生活の質)向上の視点からの総合的な対策が不可欠だ。こうした要請から厚生労働省の厚生科学審議会「リウマチ・アレルギー対策委員会」は先ごろ報告書をまとめ、今後5年間をめどに推進する総合的な施策を打ち出した。

 公明党の従来からの主張を受けた「報告書」を紹介。併せて、党アレルギー疾患対策プロジェクトの江田康幸座長(衆院議員)に聞いた。

 『現状の分析』  
 『3人に1人が罹患/生活の質も低下』

 リウマチ、アレルギー疾患に分けて記述した「報告書」は、アレルギー疾患に関する記述の冒頭で、患者の動向を分析している。

 それによると、1992〜94年度にかけて行われた厚生科学研究の全国調査で、何らかのアレルギー疾患を有する人は、乳児=28・9%、幼児=39・1%、小児=35・2%、成人=29・1%の高率に上ることが明らかに、また2002年度の保健福祉動向調査でも、何らかのアレルギー様症状を持つと答えた人が調査対象の35・9%に達するなど、国民の3人に1人を超える人が、何らかのアレルギー疾患で悩んでいることが分かっている。

 これだけ多くの人が罹患している半面、一般に命にかかわることが少ないと軽視されがちなアレルギー疾患だが、減少傾向にあるとはいえ、ぜん息で死亡する人は今も年間3000人を超える。食物アレルギーでも重いショックに陥り死亡する症例が報告されている。

 数字には表れてこない日常生活面への影響でも、食物アレルギーで幼稚園や保育園の入園を拒否される、学校で友だちと同じ給食を食べられず、あるいはアトピー性皮膚炎を理由にいじめに遭う、成人でもアトピー性皮膚炎を悪化させて退職に追い込まれ自宅に引きこもってしまうといった深刻な実態もある。

 報告書は、こうした現状から、「今後のアレルギー疾患対策について要望があると答えた者は全体の57・5%に上り、『医療機関(病院・診療所)にアレルギー専門の医師を配置してほしい』『アレルギーに関する医薬品の開発に力を入れてほしい』『アレルギーに関する情報を積極的に提供してほしい』といった内容」(保健福祉動向調査)が国民から求められていると分析している。

 『今後の取り組み』
 『「戦略的に推進されず」と反省』
 『国と自治体が分担・連携』


 (1)適切な医療の提供
 (2)情報提供・相談体制の整備
 (3)研究、医薬品の開発
 
  
 報告書は、現状のアレルギー疾患対策について「必ずしも戦略的に推進されておらず、患者への医療提供等について患者のニーズに対応できていない面があり、問題を残している」と率直に認め、その上で医療体制や情報提供・相談体制の確立、根治療法の確立へ向けた研究体制の整備など幅広い内容を提言している。

 現状の具体的な問題点について報告書は、アレルギー疾患の診療可能な医療機関が偏在し「地域において体系立てて計画的に整理されていない」、医師の資質についても重症化を防ぐためには早期診断・早期治療が重要であるにもかかわらず「必ずしも全ての医療機関において診療ガイドラインを活用した標準的な医療の提供がなされていない」などと分析。インターネットの普及に伴う医療ビジネスや民間療法などに関する情報のはんらん、カウンセリングなど心理的支援に留意した相談体制の不備なども挙げている。

 その上で、今後5年間で重点的に取り組む対策の基本的方向性を「自己管理が可能な疾患へ」と定め、国と自治体の役割分担・連携の中で、(1)医療の提供(2)情報提供・相談体制(3)研究開発および医薬品開発の推進――を進めるとした。

 このうち医療の提供では「かかりつけ医を中心とした医療体制の確立」を掲げ、症状の安定時には、かかりつけ医による診療が望ましいとする一方、重症・難治の患者や症状の増悪時に連携、専門的な医療を提供できる専門医療機関を医療圏ごとに確保、さらにそうした専門医療機関を支援する都道府県単位の専門医療機関のネットワークの構築を目標に掲げた。

 情報提供・相談体制の整備では、患者の「自己管理」を可能にするような啓発・教育資材を国が日本アレルギー学会などと連携して作成し都道府県や医療従事者などに配布、都道府県は国の取り組みを踏まえて、医師会や関係学会と連携した研修会を通し、保育所・学校(PTAなど)、職域や地域(子ども会)における自己管理手法の普及を図るとした。相談体制については、十分に機能していない現状を踏まえ「都道府県においては体系的なアレルギー相談体制の構築について検討し実施することが望ましい」とし、自治体の取り組みを促した。

 今回の「報告書」取りまとめに当たり厚労省は、都道府県の取り組みを促すため「アレルギー疾患対策の方向性等」と題した文書を、今月中にも都道府県にあてて発出する。厚労省は、政策評価を通じて自治体による施策推進を促すことにしている。

『党アレルギー疾患対策プロジェクト座長/江田康幸衆院議員に聞く』

 『公明の主張に沿う内容』
 『医療体制のネットワーク構築地方議会で推進を』


 ――「報告書」をどう評価しますか。

 江田 公明党は2001年に「アレルギー制圧10カ年戦略」をまとめて国に提示して以来、その実現を毎年の予算要望などを通じて国に求めてきました。その大きな柱の一つが総合的な施策の推進であり、その意味で今回、厚生労働省が初めて総合的なアレルギー疾患対策を「報告書」にまとめ、推進するとしたことには画期的な意義があります。

 アレルギー疾患対策の重要課題は、患者に正しい情報を提供し適切な診断・治療を行える地域の医療体制づくりにあります。そのためには国と自治体が協力して専門医を育成し、基幹病院に配置するとともに、国の政策医療を担う「免疫異常ネットワーク」病院との連携を確立、さらには、すべての保健所等にアレルギー相談員を配置し、学校での健康教育を進めるなど地域での取り組みが柱になります。

 公明党は再三にわたり、こうした施策の推進を国に要望してきましたが、その骨格が今回、総合的な対策としてまとめられました。

 ――「報告書」のポイントは?

 江田 報告書の内容が「アレルギー疾患対策の方向性等」という形で自治体に通知され、今後5年間を視野に入れた総合対策が実現に向かうことになります。国、自治体が連携しながら取り組むことにもまた大きな意味があると思います。

 この点でも公明党の主張に沿う内容になっています。今後、国は自治体が行う施策の政策評価を行うことで、取り組みの遅れを指導する。逆に地域での良い事例については、それを提示することで他の自治体の取り組みが進む相乗的な効果も期待されます。

 中でもポイントは、地域のかかりつけ医を中心にした医療提供体制を確立し、重症・難治の患者については2次医療圏ごとに整備を進める専門医療機関につなげていく、そのネットワークを医療計画などを活用して地域で確立することにあります。

 来年に予定される医療制度改革の中で医療提供体制の在り方が論議され、そこには医療計画も含まれます。地域保健医療協議会などを通じ、都道府県がどうネットワークをつくるかが問われます。さらに専門医療機関を支援できる病院を都道府県単位を基本に整備することも課題です。実効性が伴う相談体制の整備も課題になります。

 ――その意味では自治体の取り組みが重要ですね。

 江田 施策の推進を行政に任せてよいかといえば、それでは不十分です。この点は、「ネットワーク政党」として公明党が力を発揮しなければならない課題であると思います。各地の推進状況はどうかなどについて、国会、地方議会で積極的、活発に取り上げ、政治主導で推進していきたい。それができるのは公明党しかありません。

 ――検討すべき課題はこれで十分ですか。

 江田 もう一つの大きな課題は、今後、文部科学省も歩調を合わせ、本格的に取り組んでいく必要があります。アレルギー疾患は子どものころに発症することが多く、子どもたちが多くの時間を過ごす学校、幼稚園などでの対応が重要です。

 公明党は従来から内閣府に対策本部を設置して中長期的なアレルギー総合戦略を立てるべきだと主張してきました。関係省庁、中でも厚労省と文科省は一致した
取り組みを進める必要があります。今後、文部科学省に対しても、しっかりとした政策の立案を促していきたいと思います。