2006/01/20●公明新聞より
世界遺産屋久島/人と自然の共生を/多様な植物が垂直分布
ラムサール条約湿地にも/保全へ江田環境副大臣(公明党)ら視察


環境保護と観光の両立へ 
求められる受け入れ態勢の整備


 人と自然が共生する地域づくりを――。江田康幸環境副大臣(公明党、衆院議員)と公明党の高野博師参院議員は17、18の両日、世界遺産の保全状況や今後の課題を調査しようと、鹿児島県屋久島(上屋久町、屋久町)を精力的に視察、関係者と意見を交換した。


屋久島は、鹿児島県の最南端から南へ約60キロ。太平洋と東シナ海に浮かぶ円形の島で、面積は約500平方キロメートル。九州最高峰の宮之浦岳(1936メートル)をはじめ、標高1000メートル以上の山々が40座以上も連なり、「洋上アルプス」と呼ばれる。

 大部分が深い原生林で覆われた同島では、樹齢1000年以上の杉を「屋久杉」、それ以下は「小杉」と呼んでいる。特に、樹齢7200年とも言われる縄文杉は、同島のシンボル。

 「一月に三十五日雨が降る」と言われるほど多雨で、山岳地の年間降水量は、8000〜1万ミリにも達する。約2000メートルの標高差により、海岸周辺の亜熱帯から山頂付近の冷温帯までの気候を併せ持ち、それぞれの気候に適応した多様な植物の垂直分布が見られる。まさに南西諸島から北海道まで日本列島の自然を凝縮したような島だ。

 こうした自然環境の特異性から、同島は、1993年12月、日本で初めて世界遺産条約に基づく世界自然遺産に登録。昨年11月には、アカウミガメの産卵地として有名な永田浜が、干潟など国際的に重要な湿地の保全を目指すラムサール条約の湿地に選定された。

 遺産登録を機に、観光客も急増。2004年度の同島への入り込み客数は、約29万3800人、93年度比で年間約8万人増えた。このうち約6割は観光客と見られる。

 同島では、環境保護と観光の両立を目指すエコツアーが人気を集める一方で、受け入れ態勢などの課題もある。

 関係者との意見交換では、屋久町の日高十七郎町長が「観光客の増加に対応するガイドのレベルアップや山岳地域でのトイレ不足が大きな問題」と指摘。エコツアーガイドは、約160人と見られているが、これまで統一したルールが無く、一部で客との料金トラブルも発生しているという。

 このため、エコツーリズム推進協議会(会長・日高町長)では昨年10月、ガイドの登録制度の導入を決めたほか、ガイド向けに12カ条からなる“心得”を作成、質の向上に力を入れている。

 また、トイレ不足による、し尿処理問題にも頭を痛めている。山中のトイレは計11カ所。このうち7カ所が汲み取り式で、地中に埋めた排泄物による土壌や湧き水などの汚染が心配されている。

 さらに、永田浜にあるNPO法人「屋久島うみがめ館」の大牟田一美代表は、アカウミガメが観光客の車の照明などに驚き、上陸しても産卵できずに引き返すケースが続出している問題を報告、区域の規制強化などの対応を求めた。

 一方、脇田稔・鹿児島県副知事は、世界遺産の調査研究などを行う環境省の世界遺産センターの活動の充実強化や、地元住民等を雇用したグリーンワーカー事業による国立公園管理のグレードアップなどを要望した。

 江田副大臣は「貴重な遺産は地元住民の地道な努力で守られてきた。要望を踏まえ、地元と連携しながら、取り組みを強化する」と述べ、高野氏は「この豊かな自然と人が共生できる地域づくりに向け、支援していきたい」と語った。