掲載日:2020年12月08日

鹿児島県内20市町村に害虫ミカンコミバエ/収穫控えた農家に不安/公明、徳之島町を調査

 果実類や果菜類などに寄生し、食害する害虫ミカンコミバエが今年、鹿児島県などで相次いで確認されている。まん延すると、国の措置で農作物の出荷が制限される可能性もあり、冬の収穫を控えた農家に不安が広がっている。公明党の江田康幸衆院議員はこのほど、同県徳之島町(徳之島)で現状を調査した。成尾信春県議と宮之原順子町議が同行した。

 この日、徳之島町を訪れた江田氏らは、ミカンコミバエの防除などの対策を施した場所を確認し、町職員から現状の説明を聞いた。

 今年に入って町では9匹、県内では計147匹のミカンコミバエが確認されている(11月30日現在)。確認された地域では、行政や農業関係者が連携し、ハエを捕まえる「トラップ」の増設や殺虫剤などを染み込ませた「テックス板」の設置、寄生された植物の除去などの対策を実施してきた。

 ミカンコミバエのまん延で「もし出荷できなくなれば、経営には大打撃だ」――。徳之島町母間の農家、中島藤雄さん(79)は顔を曇らせる。中島さんはサトウキビやミカン、タンカンなどを栽培しており、売り上げの約3割がかんきつ類。贈答品にも用いられるタンカンは、関東や関西にまで出荷されている。2月の収穫期を控え、「今が一番大事な時期」。今シーズンは豊作が見込まれるという。

 ミカンコミバエの増加が農家に与える影響は、単に作物が食害を受けるだけではない。被害の拡大が見込まれると国が判断した場合、植物防疫法に基づく「緊急防除」が実施される。「緊急防除」は、病害虫を一部地域に封じ込めて根絶する取り組みで、「防除区域」に設定された地域からは、農作物などの持ち出しが制限され、廃棄も求められる。区域内の農家から地域外への出荷は困難になる。

 ミカンコミバエは2015年、奄美大島などで大量に発生。初動の遅れからまん延し、緊急防除が実施された。その結果、約5億6600万円をかけて県が農作物を買い取り、補償した経緯がある。事態を重く見た公明党は当時、遠山清彦衆院議員や党鹿児島県本部の地方議員が現地へ急行。党奄美ティダ委員会として政府に緊急要望を行ったほか、地元の各議会でも取り上げるなど、早期根絶に全力を挙げた。こうした取り組みによって、16年7月には緊急防除の指定が解除された。

 今年、ミカンコミバエが確認されたのは、県内で計20市町村に及ぶ。県によると、県本土を含め広範囲に確認されたのは、15年以来のこと。町内を視察した江田氏は、「甚大な被害が発生する可能性がある。国として対策を支援していきたい」と力を込めた。
Copyright(C)2013 PICT. All rights reserved.