疑問にお答えします/年金制度改革/Q&A
政府・与党がまとめた年金制度改革関連法案が今国会に提出され、年金改革をめぐる論戦が本格化します。年金制度改革について、マスコミ等の一部報道に誤解に基づく論評もあることから、主な質問について整理してみました。

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Q01 今回の年金改革案は「抜本改革と言えない」との指摘もありますが?
Q02 年金制度がつぶれてしまうことはありませんか?
Q03 厚生年金保険料は現在の13.58%から18.30%に引き上げられます。1.4倍は負担が大きすぎませんか?
Q04 「年金の給付水準が下がる」と聞きましたが、減額されるのですか?
Q05 4月から年金額が少し下がると聞きました。減額しないはずでは?
Q06 給付が下がり、保険料負担が上がると「払い損」にはなりませんか?
Q07 焦点の財源問題で、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げる道筋はついたのですか?
Q08 厚生年金の給付水準が50%以上確保できるのはモデル世帯だけとの試算があります。本当でしょうか?
Q09 専業主婦の世帯で給付水準が50%以上でも、共働き世帯や独身世帯では40%前後。不公平ではないですか?
Q10 現在、70歳の人は納めた保険料の8.3倍も年金をもらえるのに、20歳の人は2.3倍だけ。不公平では?
Q11 将来いくら年金がもらえるかが分からず不安。見込み額を示せないか?
Q12 60歳代前半で、年金をもらいながら働いています。今回の改正案で、私たちの年金はどうなりますか?
Q13 70歳以上で、会社で働いています。今回の改正案では年金が減らされると聞きましたが、本当ですか?
Q14 パート労働者への厚生年金の適用はどうなったのでしょうか?
Q15 夫婦間での厚生年金の分割について教えてください。
Q16 既に離婚している場合、年金分割は受けられますか。夫婦ともに年金を受給している場合はどうですか?
Q17 サラリーマンの妻で、国民年金の届け出を忘れて未納扱いとされてきた人が今回、救済されるそうですが?
Q18 子育て世帯に配慮する仕組みが盛り込まれた、と聞きますが?
Q19 遺族厚生年金をもらいながら働いています。今回の見直しで、65歳になった時の年金はどうなりますか?
Q20 今回の改正案で、障害年金も改善されるとのことですが?
Q21 25歳ですが、失業中で保険料が払えません。同居の親に払ってもらうのは心苦しいし、猶予の仕組みは?
Q22 国民年金は保険料が定額なので、収入が少ない私は大変です。
Q23 グリーンピアや年金福祉施設での年金のムダ遣いをどうするのか?
Q24 年金の市場運用で累積赤字が約6兆円とか。今の仕組みで大丈夫ですか?
Q25 特殊法人などに融資された年金積立金は「多くが不良債権化して実態はない」と聞きました。本当ですか?
Q26 退職後、年金が支給されるまで収入に「空白期間」が生じ、不安です。


Q1 今回の年金改革案は「抜本改革と言えない」との指摘もありますが?

給付と負担の明示は抜本改革

 年金制度において大事なことは「将来の給付と負担がどれくらいなのか」ということに尽きます。単純に、現在の保険料方式から税方式へと制度を変えたからといって、国民の負担が軽くなったり、年金が増えたりするわけではありません。
 その点、今回の政府・与党の年金制度改革案は(1)将来の負担が過重にならないよう極力抑制し、これ以上、保険料は上げない、という上限を国民の皆さまに明らかにする(2)現役世代の平均的収入の50%を上回る給付水準を維持しつつ、年金を支える力と給付とのバランスがとれる仕組みとする(3)課題であった基礎年金の国庫負担割合の引き上げの道筋を示す――ことなどを骨格としています。
 これらはいずれも、年金制度の「根幹」にかかわる抜本的な見直しです。これにより、今後は5年ごとに制度改正して給付と負担を見直すことが必要なくなるとともに、国民の皆さまにも安心感を持っていただける安定した制度となるのです。まさに「年金100年安心」の抜本改革案であると確信しています。

 その上で、年金制度をよりよいものとしていくためには、さらに検討すべき事項もあります。
 1つは、パート労働者の厚生年金適用など、働き方の多様化、ライフスタイルの変化にどう対応していくか、ひいては夫婦単位から個人単位の年金にしていくのかどうか、ということについて、検討していくことが必要です。
 また現在の仕組みは、サラリーマンと自営業者、さらにはサラリーマンの厚生年金と公務員の共済年金とが別々の制度となっています。そこで、厚生年金と共済年金の統合の問題を含めて、より安定した年金制度とするためにはどのようにしていくか、ということについても、引き続き考えていかなければなりません。

 今回の改正案は、これらの中長期的な課題について、5年を目途に検討していくこととしています。ただ、こうした課題が残っているからといって、給付と負担の見直しを先送りすることはできません。将来に向けて中長期的な課題についての検討を進めるにしても、今回の改正は、少子高齢化が急速に進む中で、公的年金制度を持続可能で安定的なものとする大改正なのです。ぜひとも今国会での成立を期したいと考えています。
 政府・与党の年金制度改革案を批判し、「抜本改革先送り」などと叫ぶのは結構ですが、制度の仕組みの変更のみで、負担と給付を明示しないまま「これが抜本改革案」と主張する議論こそ、国民に対して無責任と言わざるを得ません。


Q2 年金制度がつぶれてしまうことはありませんか?

改革で制度の持続が明確に

 大丈夫です。今日、公的年金制度によって、約3000万人の受給者に対して約40兆円の年金が毎年きちんと支払われています。「年金制度はもう破綻している」などと言っている向きもありますが、これは明らかな誤りです。
 公的年金は、だれもが迎える老後の生活を、その時々の現役の世代がみんなで、収入の一部(保険料)を持ち寄って支える仕組みです。若い世代、高齢者がともに、この制度の大切さを理解し、お互いのことを考えてバランスをとっていけば、決してつぶれることはありません。
 とはいえ、これまで5年ごとの年金改正のたびに保険料負担を重くし、給付水準を抑える改正を繰り返してきたことが、今日の年金制度に対する不安感、不信感のもとになっていることも事実です。

 大切なのは、年金制度がどのような状態になっていて、若い人と高齢者のバランスをとるためにどのようなことが必要なのかを国民の皆さまにきちんと伝え、理解を得て、年金制度に対する安心感を持っていただくことです。私たちは、この責任をしっかり果たし、安心・安定の年金制度を運営していきます。

 今回の改正案は、そのような認識の下、与党と政府で責任を持ってまとめたものであり、(1)将来の負担が過重にならないよう極力抑制し、「これ以上、保険料は上げない」という上限を国民の皆さまに明らかにする(2)現役世代の平均的収入の50%を上回る給付水準を維持しつつ、年金を支える力と給付とのバランスがとれる仕組みとする(3)課題であった基礎年金の国庫負担割合の引き上げの道筋を示す――ことにより、年金制度が将来にわたり持続可能で安心できるものとなることを、明確に示したものだと考えています。


Q3 厚生年金保険料は現在の13.58%から18.30%に引き上げられます。1.4倍は負担が大きすぎませんか?

保険料上昇を抑制し、歯止め

 もしも公的年金制度がなかったら、どうなるでしょうか。自分で老親の生活を、仕送りなどで支えなくてはなりません。公的年金は、いわば、社会全体での「子から親への仕送り」なのです。
 わが国では、少子高齢化が急速に進んでいます。もし保険料を引き上げずに年金制度を続けていこうと思えば、現在の高齢者がもらっている年金を一度に3〜4割も減らさなくてはなりません。逆に、もし、現在の高齢者がもらっている年金の水準を将来にわたって維持しようとすれば、現行の年金制度のままでは、若い世代の厚生年金保険料は26%に、国民年金保険料は2万8900円(04年度価格)にと、いずれも現在の約2倍まで高くなってしまいます。

 いずれの道も採り得るものではなく、持続可能で安心できる制度をつくるための改革が急務の課題となっています。
 そこで、今回の年金改革案では、高齢者の年金の水準をある程度抑えるとともに、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げて、最終の保険料負担を26%から18.30%に抑える案になっています。

 最終保険料を、厚生年金は18.30%、国民年金は1万6900円とし、「これ以上負担は増やさない」という明確な歯止めを設けたことは重要です。しかも、一度に上げるわけではなく、04年10月から17年度まで毎年0.354%(本人0.177%)ずつ徐々に上げていくので、平均的な勤労者の方(月収36万円)で、前年に比べて、一カ月当たり約650円(ボーナス時に1150円)の負担増となります。国民年金についても、05年4月から毎年月額280円(04年度価格)に負担を抑えています。
 海外と比較しても、イギリスの21.8%、ドイツの19.1%、スウェーデンの17.21%(02年度)に比べ、現在の日本の厚生年金保険料率の13.58%(2017年には18.30%に)は決して高いとは言えません。


Q4 「年金の給付水準が下がる」と聞きましたが、減額されるのですか?

減額しない。伸びを小さく

 年金額が減っていくように思われるかもしれませんが、年金の額そのものが減るわけではありません。
 では、年金改革案で「年金の水準を下げる」とは、どういう意味か。
 現在の年金制度では、1人当たりの賃金や物価の伸びに応じて、年金額を増やしていく(スライドする)仕組みとなっています。しかし、今後、少子高齢化で賃金の支払いを受ける人(=保険料を負担する人)が減少する中で、1人当たりの賃金の伸びに応じて年金額を増やしていたのでは、年金額だけが増えていくことになります。それでは、年金制度が立ちゆかなくなります。今回の改正案では、保険料を負担する年金制度の支え手の減少分などを考慮に入れて、年金額の伸びを小さくする(スライド調整する)仕組みにしているのです。保険料を負担する人の減少分など(スライド調整率)が、1人当たりの賃金や物価の伸びを超えるような場合もあり得ますが、そのような場合には、年金額の伸びをマイナスにはしない(年金額そのものは減らさない)仕組みとしています。
 高齢者のご夫婦の生活費をみると、平均的なサラリーマン世帯の手取り収入の半分くらいとなっていますので、平均的なサラリーマン世帯の方が年金受給者になった時に、支給される年金の水準も50%を上回る水準を確保することとしています。


Q5 4月から年金額が少し下がると聞きました。減額しないはずでは?

物価変動に応じ年金額改定

 厚生年金や国民年金の年金額については「自動物価スライド制」が採られ、物価の変動に応じて年金額を改定することとなっています。
 現在のところ、03年の消費者物価は前の年に比べて0.3%程度下落していますので、これに応じて4月分からの年金額についてマイナス0.3%の改定を行うこととしているものです。
 年金額がマイナス改定(引き下げ)されることについては疑問もあるかもしれませんが、物価が下がっていることへのご理解をお願いします。また、年金を支えている現役世代の賃金も下がっていますので、現役世代とのバランスも考えなくてはならないのです。
 なお、過去の2000年度から02年度にかけて、物価が下落したにもかかわらず年金額を据え置く特例措置を講じており、現在の年金額は、本来の水準より、1.7%高くなっています。

 法律どおりの物価スライドを適用した場合には、この1.7%分も含めてマイナス2.0%の改定となるところですが、高齢者の生活に急激な影響を与えないよう配慮し、今回の物価スライドについては03年の物価下落分のみ行うこととしておりますので、この点も併せて、ご理解いただきたいと思います。
 この1.7%高くなっている分については、05年度以降、物価が上昇する時のスライドの割合を調整する(1.7%分を差し引く)ことで、解消していくこととしています。


Q6 給付が下がり、保険料負担が上がると「払い損」にはなりませんか?

決して「払い損」にならない
 「払い損」にはなりません。
 高齢者の年金を高くすれば、若い世代の負担が重くなって若い世代の理解が得られなくなりますし、逆に、若い世代の保険料負担を少なくすれば、高齢者の年金が少なくなって高齢者の理解が得られなくなります。ともに、お互いのことを考えることが大事です。
 今回の年金制度改革案は、若い世代には“ぎりぎり負担できる保険料負担”をお願いし、高齢者にも“基本的な生活を賄うことができる年金の水準は確保する”という観点からまとめたものです。

 この案でも、例えば1985年生まれの若者の世代でみると、厚生年金では、生涯に払う保険料(本人分のみ)の総額の2.3倍程度の年金(基礎年金を含む)がもらえます。国民年金については、生涯に払う保険料の総額の1.7倍程度の基礎年金がもらえます。
 したがって、決して「払い損」になることはありません。


Q7 焦点の財源問題で、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げる道筋はついたのですか?

国庫負担上げ、道筋つける

 はい。最大の問題は2分の1への引き上げへの財源である毎年2兆7000億円以上もの予算をどう捻出するかです。これは金額が大きすぎるため、毎年、段階的に引き上げるしかありません。
 基礎年金の国庫負担割合の引き上げについては、具体的に、04年度の与党税制改正大綱において(1)04年度から年金課税の見直しによる増収分を財源に引き上げに着手する(04年度は272億円、05年度以降は約1600億円)(2)05、06年度において、所得税の定率減税の縮減・廃止と合わせ、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行うことで安定した財源を確保し、適切な水準にまで引き上げる(3)07年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、消費税を含む抜本的税制改革を実現した上で、09年度までに完全に引き上げる――というように、引き上げへの道筋をつけることができました。
 これは、公明党が03年の衆院選マニフェストで示した財源案に沿った形で決められたものであり、この道筋に沿って、今後安定した財源を税制改革により確保し、基礎年金の国庫負担割合を着実に2分の1に引き上げていきます。


Q8 厚生年金の給付水準が50%以上確保できるのはモデル世帯だけとの試算があります。本当でしょうか?

「モデル世帯だけ50%」は誤解

 給付水準の下限として示されている「50%」とは、平均的な賃金で夫のみが働いていたサラリーマン夫婦世帯の基礎年金2人分を含む厚生年金の、現役の男子(厚生年金加入者)の平均的な手取り賃金(ボーナス込み)に対する割合でみたものです。この割合を「所得代替率」と言います。
 この割合(所得代替率)は、世帯類型や世帯の所得などによって異なるものですが、これは、厚生年金が、世帯1人当たりの賃金の低い世帯に相対的に手厚い給付を行う「所得再分配」の機能を持たせた仕組みになっていることによるものです。
 したがって、モデル世帯だけが50%を確保でき、それ以外の世帯では50%を確保できないというものではありません。

 例えば、現役世代の平均的な報酬額(手取り賃金)よりも高い報酬額でずっと加入していた方の年金は、その方が得ていた報酬額と対比すると50%を下回ります。
 一方、現役世代の平均的な報酬額より低い報酬額でずっと加入していた方の年金は、その方の得ていた報酬額との対比では50%を上回ることになります。
 給付水準のあり方を検討する際には、このように一定の年金世帯を「モデル世帯」として基準にし、給付水準の指標とすることが合理的なのです。


Q9 専業主婦の世帯で給付水準が50%以上でも、共働き世帯や独身世帯では40%前後。不公平ではないですか?

1人当たりの年金額で判断

 老後の年金額が現役世代の平均手取り年収の何割か、を示す「所得代替率」は、専業主婦のいるサラリーマン世帯や共働き世帯、独身世帯など、世帯の形態にかかわらず「1人当たりの所得水準」が高いか低いかによって異なります。
 50%を下限としている世帯は、夫だけが働く場合であり、夫の賃金が同じで、妻が少しでも働いている場合は年金額はより高くなります。ただ、2人合わせた賃金に対する年金の割合は50%よりも低くなります。
 したがって、専業主婦の世帯のみが給付水準50%を確保できるというわけではなく、共働きでも1人当たりの賃金が低ければ50%よりも高くなることもあります。


Q10 現在、70歳の人は納めた保険料の8.3倍も年金をもらえるのに、20歳の人は2.3倍だけ。不公平では?

高齢者世代は老親を私的に扶養

 現在の受給者の世代で倍率が高くなっているのは、(1)戦後の経済混乱の中では、負担能力に見合った低い保険料からスタートし、段階的に引き上げる形で給付と負担のバランスをとらざるを得なかったこと(2)その後の経済発展の中で、物価や賃金の上昇に応じた給付アップを行ってきたこと――などが原因で生じたものです。
 また、年金制度における世代間の負担と給付の関係は、単純に「払った何倍が返ってくるか」で比較すべきものではありません。(1)都市化や核家族化が進んで、それまでの個別の仕送りから公的年金を通じた“社会全体での仕送り”に移行したこと(2)少子化と長寿化が進み、現役世代の負担が高まったこと(3)生活水準が向上して実質的な保険料負担能力が上がったこと――なども考慮することが必要です。

 特に、みんなで保険料を負担し年金制度を支えることで、老親の経済的な心配をすることなく安心して生活できるのであり、自分の老後の給付以外にも年金制度から間接的な恩恵を受けていること、この恩恵の程度が少子化が進むにつれ大きくなっていくということも忘れてはなりません。
 あえて自分が支払った保険料と自分が受け取る年金を、今回の改正案をベースに比較しても、厚生年金では、生まれたばかりの世代で、生涯に払う保険料の2.3倍、国民年金では1.7倍の給付が受けられる計算となり、決して「払い損」とはならない仕組みとなっています。


Q11 将来いくら年金がもらえるかが分からず不安。見込み額を示せないか?

保険料実績、年金の目安を通知

 「制度が複雑で分かりづらい」ということも年金に対する不安の一因といえます。そこで、年金制度について、より理解していただけるよう、将来の自分の年金を分かりやすく実感できる方法が必要です。
 これまで、各地域にある社会保険事務所や年金相談センターでは、年金相談に来ていただいた58歳以上の方が希望されれば、年金の見込み額を試算してお伝えしていましたが、04年1月中旬からは(1)年金相談の際、見込み額を試算してお伝えする年齢を、55歳以上の希望される方に広げる(2)55歳以上の方について、直接、社会保険事務所等に来られなくても、電話やインターネットにより見込み額の照会を受け付ける(回答は文書にて行う)――こととなりました。情報を提供する対象年齢も、さらに若い年齢から行うことができるよう取り組みを進めます。

 また04年3月中旬からは、年金の受給が近づいた58歳到達者(年金受給資格を満たしている方)に対して、事前に年金加入記録をお知らせし、希望する方には、年金見込み額を提供するサービスが開始されました。
 さらには、希望する方にとどまらず、被保険者、特に若年者の方々に対して、保険料を納めた実績や将来の年金額の目安などについて定期的に通知することや、その情報をより分かりやすくするため、保険料を納めている実績を点数化して表示する「ポイント制」も、08年4月から実施する予定です。


Q12 60歳代前半で、年金をもらいながら働いています。今回の改正案で、私たちの年金はどうなりますか?
 
「一律に2割減額」を廃止

 現在の仕組みでは、60歳代前半で年金をもらいながら働いている方については、年金額と給与収入の合計が一定額を超えると、それまでもらっていた年金額が一律に2割減額されます。このため、働くことをためらうケースもありました。
 今回の改正案では、この「一律2割減額」の仕組みを廃止し、年金制度が、働くかどうかの選択に影響を与えにくい仕組みに改善しました。
 具体的には、60歳代前半で年金をもらいながら働いている人の年金額は、新しい仕組みが適用されると、減額されていた2割分を上乗せした年金が支給されるようになります(ただし、賃金や年金が多い方には、年金額が減額される場合があります)。


Q13 70歳以上で、会社で働いています。今回の改正案では年金が減らされると聞きましたが、本当ですか?
 
賃金と年金で月48万円超は減額

 年金をもらっている70歳以上の方々の中には、会社役員など、高い収入を得ている方もいます。現在の仕組みでは、そうした方々にも年金が全額支給されています。
 今回の改正案では、70歳以上で厚生年金をもらいながら働いている方々の賃金と厚生年金の報酬比例部分の合計額が、現役の平均収入(ボーナスを含めると一月当たり48万円)を上回る場合は、その年金額の一部または全額を支給停止することとしています。世代間の公平、若い世代の負担軽減の観点からご理解いただきたいと思います。
 なお、今回の改正案は施行日(07年4月)において70歳以上の方には適用されません(1937年4月2日生まれ以降の方が対象になります)。


Q14 パート労働者への厚生年金の適用はどうなったのでしょうか?
 
パート適用は5年目途に検討

 現在は、パート労働者でも通常の労働者のおおむね4分の3以上の労働時間があれば厚生年金が適用されますが、雇用の多様化が進む中、この取り扱いをどうするかが今回の改正論議の大きなテーマの一つになりました。
 パート労働者の年金を充実する観点や、パート労働者を多く雇う会社とそうでない会社の負担の公平を図る観点から、この取り扱いを見直すことは重要な課題です。ただし、見直しを行っていく上では、社会経済の状況やパート労働者を多く雇っている企業への影響、事務手続きの効率性、パート労働者の意識と就業の実態、雇用への影響などを踏まえるとともに、他の社会保障や雇用施策との整合性にも配慮することが必要です。
 こうした考え方に立って、企業や働く側が働き方を選ぶのに影響を与えることのない仕組みとなるよう、5年を目途に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じることとしています。


Q15 夫婦間での厚生年金の分割について教えてください。
 
離婚時に最大2分の1が分割可


 今回の改革案では、サラリーマンが払った厚生年金の保険料は、夫婦で共同して負担したものとみなし、離婚時には、婚姻期間中の年金を分割できる仕組みが盛り込まれました。これは、サラリーマンの夫に扶養されている専業主婦の妻にも年金受給権を明確に規定した画期的な改革です。
 新制度では、07年4月以降に離婚した場合、婚姻期間中の厚生年金を分割できます。分割割合は当事者間の合意で決定します。ただし、5割が上限です。合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が分割割合を定めることができます。共働きの場合は、夫婦の厚生年金を合算した額の5割まで分割が可能です。
 さらに08年4月以降の専業主婦(第3号被保険者)の期間については、離婚の場合などに妻が申請すれば、08年4月から申請時までの夫の厚生年金を自動的に5割に分割できます。夫婦間の合意や裁判所の調停は必要ありません。
 したがって、妻がずっと専業主婦の例では、婚姻期間のうち、08年4月以降の分は妻の申請で自動的に5割に分割され、それ以前の分は夫婦間の協議で分割割合が決められることになります。


Q16 既に離婚している場合、年金分割は受けられますか。夫婦ともに年金を受給している場合はどうですか?
 
07年4月以降の離婚が対象

 離婚時の年金分割の仕組みが施行される07年4月以前に離婚した場合は、分割できません。
 また、現在、夫婦ともに年金を受給していても、07年4月以降に離婚した場合は、年金を分割することはできます。その場合は、両者の受給する年金額が変わることになります。


Q17 サラリーマンの妻で、国民年金の届け出を忘れて未納扱いとされてきた人が今回、救済されるそうですが?
 
「第3号」の未納扱いを解消

 現在、第3号被保険者(サラリーマンの妻で専業主婦)の届け出を遅れて行った場合、2年前まで遡って保険料納付済み期間として取り扱われます。しかし、それ以前の期間は保険料を滞納したのと同じ取り扱いとなり、その分、年金額は減ってしまいます。
 本来、第3号被保険者の届け出は、それに該当した時点ですぐに行っていただくものですが、中には、届け出はいらないと誤解して、届け出が遅れてしまうケースも多々あるようです。
 そこで、今回の改正案では、第3号被保険者の届け出が遅れたことによる過去の未納期間について特例的に届け出を認め、保険料未納期間を一挙に解消できるようにします。
 救済措置は05年4月からです。ぜひ届け出てください。


Q18 子育て世帯に配慮する仕組みが盛り込まれた、と聞きますが?
 
保険料免除を3歳まで拡充

 現在、子育て世帯については、育児休業中(1歳まで)の保険料を免除する一方、育児休業前の賃金に基づいて年金給付を計算する取り扱いとしています。
 今回の改正案では、さらに(1)保険料の免除を、3歳までの育児休業中にまで拡充する(2)育児で勤務時間を短くするなどして働いている場合、子どもが生まれる前の賃金に基づいて給付額を算定する――こととし、子育て世帯に対する配慮を拡充しています。


Q19 遺族厚生年金をもらいながら働いています。今回の見直しで、65歳になった時の年金はどうなりますか?
 
まず老齢年金を全額支給

 現行の仕組みでは、遺族厚生年金をもらっている人が65歳になったときには、(1)死亡した配偶者の老齢厚生年金の4分の3(2)死亡した配偶者の老齢厚生年金の2分の1と本人の老齢厚生年金の2分の1の合計(3)本人の老齢厚生年金――のいずれか高いものを選べる仕組みとなっていますが、本人の老齢厚生年金は少ない場合が多く、(1)を選択する人が大多数でした。
 その結果、受ける権利があるにもかかわらず、自分の老齢厚生年金を全く受給しないことになっていました。
 今回の改正案では、遺族である配偶者自身が働いて納めた保険料をできるだけ給付に反映させるため、まずは、遺族である配偶者自身の老齢厚生年金を全額支給することとしています。

 ただ、それだけではこれまでより年金額が減ってしまいますので、(1)または(2)の額と、老齢厚生年金の額の差額を、遺族厚生年金として支給する仕組みとしています。
 結果的に受ける年金額は現在の仕組みと変わりませんが、自分で働いて保険料を納めた結果をできるだけ年金給付に反映するようにした点は、遺族年金の考え方の大きな転換といえます。


Q20 今回の改正案で、障害年金も改善されるとのことですが?
 
「障害基礎+老齢厚生」OK

 障害基礎年金をもらっている障害者の方が働いて厚生年金保険料を支払った場合、65歳になったとき、障害年金のほかに、老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)をもらう権利も発生します。
 この場合、障害者の方は、これまで受給してきた障害基礎年金を65歳以降ももらい続けるか、新たにもらう権利が発生した老齢基礎年金+老齢厚生年金をもらうか、どちらかを選択することになりますが、障害基礎年金の方をもらい続けることを選択した場合、働いて厚生年金保険料を納めたことが、年金額には反映されない結果となります。
 そこで、今回の改正案では、重い障害を有していても意欲と能力を生かして働ける環境をつくっていこうという動きの中で、年金制度においても、障害基礎年金に加え、老齢厚生年金を受けることができるようにしました。


Q21 25歳ですが、失業中で保険料が払えません。同居の親に払ってもらうのは心苦しいし、猶予の仕組みは?
 
20歳代の青年に納付猶予制度

 収入のない方、または低い方については、国民年金の保険料免除の仕組みがあります。
 保険料を免除されるかどうかは、本人と配偶者および世帯主(親)のそれぞれの所得で判断されますので、仕事が見つからず所得のない方でも、所得が一定以上ある世帯主(親)と同居している場合、保険料免除を受けられません(保険料を支払わなければ、その期間は未納期間となって、その分の年金はもらえません)。
 そこで、05年4月から、20歳代の方については、世帯主(親)に所得があっても、本人の所得だけを基準に判断し、本人が申し出れば保険料の納付を猶予する仕組みを設けることとしています。
 猶予が認められた場合、10年間以内に実際に保険料を追納すれば、猶予されていた期間の分の年金が支払われます。


Q22 国民年金は保険料が定額なので、収入が少ない私は大変です。
 
きめ細かな免除制度を導入

 現在では、国民年金の保険料の免除は「全額免除」と「半額免除」の2段階です。今後、国民年金保険料は徐々に引き上げられていきますので、無理のない形で保険料を少しでも納められるようにできないか、という指摘がありました。
 これを踏まえて今回の改正案では、負担できる能力に応じた、きめ細かな免除制度とすることとしました。具体的には「全額免除」「半額免除」に加え、新たに「1/4免除」「3/4免除」という段階を設け、所得に応じた保険料を納付しやすい仕組みとしています。


Q23 グリーンピアや年金福祉施設での年金のムダ遣いをどうするのか?
 
保険料投入せず、全施設を売却

 年金制度は給付を受けるまでの間、長く保険料を納めていただく仕組みですので、被保険者への福祉還元が求められていた時代でもあり、そうした観点からグリーンピア(大規模な年金保養施設)をはじめとした福祉施設の建設が行われてきました。また、民間の同種の事業者が未整備であった時代に、被保険者の福祉向上に一定の役割を果たしてきたことは評価できます。
 しかしながら、社会経済状況や生活様式の変化の中で、福祉還元事業としての必要性が希薄になり、特に平成以降は年金財政の見通しが厳しくなってきたにもかかわらず、今日まで的確な対応がなされなかったことは、政治と行政の責任です。こうした反省に立ち、年金改革が議論されている今こそ、多くの国民の批判にこたえるために抜本的な見直しを行うことが必要です。
 グリーンピアについては、民間で類似の施設が普及しているため、05年度までに廃止することになっています。

 こうした状況を踏まえて公明党も、党年金制度調査委員会の下に「年金資金運用・福祉施設の見直しに関する小委員会」を設置し、速やかに見直しに着手。与党での協議に臨み、(1)年金保険料を今後は福祉施設の整備費および委託費に投入しない(2)全国265の施設はすべて売却する。売却に当たっては、年金資金への損失を最小化し、年金資金に貢献するよう努める(3)委託先公益法人は高コスト構造や天下りの温床になっていることから、役員報酬や退職金の処遇を全面的に見直し、その廃止を含めた徹底した整理合理化を行う――の3点を盛り込んだ合意を取りまとめました。今後はこの与党合意を踏まえ、早急な見直しに着手していきます。


Q24 年金の市場運用で累積赤字が約6兆円とか。今の仕組みで大丈夫ですか?
 
責任明確化し、効率的に運用

 年金保険料などの収入から給付などの支出を差し引いた余りが「年金積立金」であり、現在、約147兆円(02年度末)が蓄えられています。
 2000年度までは、年金積立金は郵貯資金などとともに、全額を旧大蔵省資金運用部に預託し運用していました。また、これと並行して、旧年金福祉事業団は、財政投融資制度を通じて資金を借り入れ、間接的に年金積立金の一部を市場運用してきました。

 01年度からは、年金資金運用基金がこの積立金の一部を市場運用していますが、これまでの累積損失は約6兆円になり、こうした市場運用のあり方について見直しを求める声が高まっています。
 確かに資産運用にはリスクが伴いますが、金融市場が好調の時は高い運用利回りを得ており、実際、1986年度〜00年度までは収益額累計が9兆3400億円ありました。また、03年度の第3四半期まで3兆4900億円の収益を上げ、累積損失約6兆円の6割弱が解消されています。

 こうした年金積立金の運用実績を踏まえると、長期的視点に立って評価を行う必要がありますが、年金積立金の運用目的が、運用収入を活用することで将来世代の負担を抑え、世代間格差を縮小することにあることを踏まえると、運用のあり方については万全を期すべきです。
 そのためにも、今回の年金改革においては、専門性の徹底や責任の明確化を基本として、運用組織を見直し、長期的に安全かつ効率的な運用を行うための改革を行うこととしています。


Q25 特殊法人などに融資された年金積立金は「多くが不良債権化して実態はない」と聞きました。本当ですか?
 
積立金は厳然と存在する

 現在、年金積立金の約4分の3は、財政融資資金に預託されていますが、08年度までに、預託金の全額が、利子をつけて年金特別会計に償還されることとなっています。これまでも滞りなく償還されており、今後とも確実に償還されます。
 また、残りの約4分の1は財投債のほかに、国債や株式などとして市場運用が行われていますが、この運用に当たっては年金資金運用基金が長期的な視点で、安全かつ効率的に運用しています。02年度末の時価評価でも141兆円が現存しており、積立金は存在しないという批判は全く当たりません。


Q26 退職後、年金が支給されるまで収入に「空白期間」が生じ、不安です。
 
法律で雇用と年金支給を接続

 厚生年金の支給開始年齢は65歳に段階的に引き上げられています。国民年金はすでに65歳支給ですが、厚生年金は定額部分が2013年までに、報酬比例部分が2025年までに、それぞれ段階的に引き上げられます(女性の場合はいずれも5年遅れ)。
 一方、雇用の面では、ほとんどの企業で60歳定年制が定着しており、年金支給開始年齢の65歳までの収入確保が課題となっています。ですから、年金給付と定年延長は裏と表の問題として考える必要があり、支給開始年齢の段階的引き上げの完了と歩調を合わせて、定年の延長など高齢者雇用の充実に取り組む必要があります。

 こうした背景から、今国会では、年金改革法案と併せて、65歳までの定年引き上げや継続雇用制度の導入を企業に義務付ける高齢者雇用安定法改正案が提出されています。
 これは公明党がマニフェスト等で提案してきたものであり、本人の意欲や能力に応じて65歳まで働き続けられる社会の構築をめざし、年金と雇用の接続にも全力で取り組んでいきます。

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