漂流・漂着ごみ対策に挑む/美しい海岸を汚すな!
 近年、海岸に流れ着く大量の漂着ごみが各地で問題になっている。環境省は2007年度から、長崎県対馬市の海岸などをモデル地域に指定し、発生源対策などの調査・研究を進めている。海ごみ対策にスポットを当てた。

一晩で大量のごみ散乱/長崎・対馬市の越高海岸」
 「韓国や中国のペットボトルも 高い処理費、放置も多く」

きれいな海岸が、たった一晩でゴミの山!?

 「たった一晩のしけで、海岸一面にごみが漂着したんです」。対馬市廃棄物対策課の阿比留忠明係長は、環境省のモデル地域の一つに指定された越高海岸で、そう語った。

 同海岸には、海から打ち上げられたペットボトルや漁網、プラスチック製品、発泡スチロール製のフロート(浮具)が散乱し、足の踏み場もないほど。多くの日本のごみに混じって、ハングルや中国語の文字が書かれたペットボトルや菓子袋もあり、遠く海を越えて流れ着いたことが一目で分かる。

 同係長によれば、塩分の付着している漂着ごみのすべてを島内の廃棄物処理場で処理するには限界があり、船でわざわざ福岡県北九州市の処理施設まで運ばなくてはならないものもあるという。経費も多額に上ることから、放置されたままの漂着ごみも多いのが現状だ。
    *
 漂着ごみの問題を重大視した環境省が07年度から取り組んでいるのが「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査」。漂着ごみの発生源対策や有効な回収方法を検討・研究するのが目的で、対馬市内では、越高海岸(調査延長200メートル)と志多留海岸(同)がモデル地域に選ばれている。

 具体的には、ごみを回収して分析を行うクリーンアップ調査や海岸清掃後のごみの漂着状況を把握するフォローアップ調査などを定期的に行い、現在、データの取りまとめを進めている。

 同係長は「漂着ごみ問題は、市だけでは対応できない。このモデル調査は、漂流・漂着ごみ対策の一歩前進につながる」と期待する。

「意識啓発へ日韓交流も」 
 「対馬市で 両国学生が海岸清掃続ける」

ゴミがとりもつ日韓の学生交流。

 環境省のモデル調査とは別に、対馬市は、韓国人学生との交流を通した取り組みも展開中だ。

 これは、同市の海岸に韓国からのごみが流れ着くことを知った韓国人が「対馬でごみを拾おう」と呼び掛けたのに対し、釜山外国語大学校の学生160人が、03年に対馬の住民とともに海岸のごみ回収を行うようになったもので、以後、毎年、韓国人学生と協働で海岸清掃が続いている。

 さらに06年からは、対馬市と長崎県が開催した「第1回日韓学生つしま会議」でも、両国の学生が共にごみ回収や意見交換を実施。翌07年10月の「第2回日韓学生つしま会議」では、参加した学生から「海は国に関係なく、みんなのもの。一人一人がきれいにしようという意識を持つことが大事」(日本人学生)、「きれいな海を取り戻すためには国境を越えて、みんながその深刻さを認識する必要がある」(韓国人学生)などの感想が寄せられた。

 同会議は今年も10月に開かれる予定で、市では「両国の若者の意識を啓発し、ごみ削減につなげたい」(廃棄物対策課)と話している。

「環境省 効果的ごみ削減策を検討/公明・江田氏も推進」
 「08年度末まで 7県11海岸をモデル地域に」 

江田氏は環境問題のエキスパート。


▲対馬視察 江田康幸議員

 漂流・漂着ごみ問題は、全国各地に及んでいる。財団法人・環日本海環境協力センターは、国内の海辺の漂着物量が年間平均約18万6000トンにも及ぶと試算しており、ごみによって景観が損なわれたり、処理費用が高額になるなど、多くの自治体が頭を痛めている。

 環境省のモデル調査では、対馬市の2海岸を含め、北は山形県から南は沖縄県まで7県11海岸をモデル地域に指定。
 石川県羽咋市の羽咋・滝海岸では、ビーチクリーナーなどの重機を使った回収方法を調査し、沖縄県竹富町の西表島では、人力での回収方法を検討するなど、海岸それぞれの特徴に合ったごみの調査や回収を行っている。こうして集められたデータは、地域検討会や総括検討会で議論され、それをもとに08年度末までには効果的な漂着ごみの削減策がまとめられる予定だ。

 同モデル調査は、公明党の江田康幸衆院議員が環境副大臣を務めていた06年当時、積極的に推進したもの。7月23日に越高海岸(対馬市)を視察した江田氏は「漂着ごみ対策は、国交省や環境省など複数の省庁にまたがっており、予算面や効率面で縦割り行政の弊害も大きい。市の負担軽減を図るためにも対策の一元化などを強く働き掛けたい」と語り、恒久的対策の確立に取り組む意欲を示した。