新たなエネルギー基本計画案
与党ワーキングチーム・公明党総合エネルギー政策委員長
江田康幸氏に聞く
掲載日: 2014/04/15

▲菅官房長官(右)へエネルギー基本計画について要望書を提出する江田氏(中央) 原発依存度を低減/再エネの数値目標 明確化/政府に再エネ普及の司令塔 関係閣僚会合創設へ

 自民、公明の与党エネルギー基本計画に関するワーキングチーム(WT)は3日、
国の中長期的なエネルギー政策の方向性を定めた新たなエネルギー基本計画案を了承
した。計画案のポイントや公明党の公約との整合性などについて、同WTの江田康幸氏に聞いた。
 ――新たなエネルギー基本計画案のポイントは。
 江田康幸氏 東日本大震災前に描いていたエネルギー戦略を白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減することが基本姿勢になっています。

 昨年末に経済産業省の総合資源エネルギー調査会がまとめた同計画への意見書では、原発を「引き続き活用していく」などと記して原発を強調していましたが、公明党の主張でその文言を削除させ、依存度を下げていく方向性を明確にしました。

 ――原発を「ベースロード電源」(発電コストが安価で安定供給可能な電源)の一つとしたのは、将来的に原発ゼロをめざす公明党の公約と矛盾するとの指摘もあるが。
 江田 そもそも今回の基本計画は、今後20年を視野に入れた5年間の政策の方向性を示したものです。5年という短期間の中で即座に原発ゼロを主張するのは、日本経済への影響や安定的な電力確保の面から見て、現実的ではありません。

 そこで公明党は、国民生活への影響を考慮しつつ、原発依存度を可能な限り低減させるため、省エネルギーとともに、再生可能エネルギーの拡大を強く訴え、基本計画への数値目標の明記を勝ち取りました。

 ――与党WTの議論では、かなり反発があったようだが。
 
江田 「原発の比率を決められない中で再エネの数値目標だけを決めるのは不可能」としていました。しかし、われわれは一歩も引かずに「原発依存低減の具体策は再エネの数値目標」と訴え、2030年時点で再エネの比率を約2割(発電量で約2140億キロワット時)とする過去の政府案などを「更に上回る水準の導入を目指す」との目標を盛り込ませました。

 また、再エネ普及の司令塔役として関係閣僚会合を創設し、管轄省庁の連携を強化する点も公明党の主張で計画案に入りました。

 ――公明党は公約で「30年時に再エネ30%」としていたが、後退したのか。
 
江田 それは違います。正確に言えば、徹底した省エネによって石油や石炭などの1次エネルギーを25%削減した上で、総発電量の再エネ比率を30%にする、と衆院選重点政策で訴えてきました。これを具体的な数値で示すと、再エネ発電量は約2250億キロワット時で、今回の基本計画に明記された過去の政府の数値目標とほぼ同じになります。これは、非常に挑戦的な高い目標です。

 ただ、これだけでは震災前のエネルギー戦略を白紙から見直したとは言えません。
 そのため、基本計画を了承する際には、WTでの議論で自民党からも再エネ比率を30%にすべきという意見があったことを踏まえ、政府に対し、より具体的かつ野心的な再エネ目標をエネルギーミックス(発電方法の割合)と併せて、早く示すよう申し入れを行うと決めました。

 ――公約で廃止するとしていた高速増殖炉「もんじゅ」は、「国際的な研究拠点」
と位置付けているが。

 
江田 これから原子力依存を低減させていく上で、発電しながら新たな燃料を生み出す「増殖」の必要性はないと考えています。一方、もんじゅは放射性廃棄物を減らしたり、毒性を弱めたり、核兵器に転用しにくい形でプルトニウムを取り出す研究にも使えるということなので、それならば理解できると判断しました。

 当然、稼働には原子力規制委員会が課す世界最高レベルの基準をクリアし、安全性を確保しなければなりません。また、研究成果の取りまとめが終われば、もんじゅは廃止となります。

 原発から出た使用済み核燃料の再処理については、核不拡散などの観点から、プルトニウムの分離などを行わず、地下に埋める直接処分への転換も含めて柔軟な対応を取るとし、公明党の公約通りとなりました。これらも粘り強い主張で勝ち取った成果です。