バックナンバーNO14

年金Q&A/年金制度は揺るがず
           現在の財政は想定以上に安定 
公明新聞:2007年02月16日付 

公年金は本当に大丈夫なの?

 大丈夫です。現在は「100年安心プラン」(04年改正)の時に想定した財政見通しを上回り、積立金を取り崩す予定のところが、逆に積み増しているのです。

 厚生労働省は今月(2月)6日、新人口推計に基づき、今後50年間、出生率が2005年の1.26から回復せず、ほぼ横ばいであったとしても、近年の景気回復傾向を経済に関する前提に反映させると、55年時点の給付水準は04年改正の見通しである50.2%を上回る51.6%を確保できるとの試算を発表しました。

 年金財政に影響を与える主な要素は、(1)出生率(2)寿命(3)積立金の実質的な運用利回り(4)実質賃金上昇率(5)物価上昇率(6)厚生年金被保険者数、労働力率――などがあり、年金財政は出生率だけでなく、経済・雇用の動向に左右されます。

 また、女性や高齢者などの社会参加の度合いも重要な変動要因で、女性が出産・育児で仕事を中断してしまうのではなく、働き続けられる社会、つまり男女共同参画社会を実現できれば、年金財政に大きな追い風となります。このように年金財政は総合的な見地から判断が必要であり、一時の出生率だけで一喜一憂するものではありません。

 ちなみに、06年は出生数が前年を上回り、出生率は「1・29前後に回復する見通し」と報道されています。

 足下の財政状況は堅調です。景気回復を背景とした年金積立金の好調な運用などで、05年度の厚生年金と国民年金の収支は04年改正の見通しを大きく上回っています。

 05年度の年金積立金の実質的な運用利回りは、7.01%で04年改正の前提である0.50%を6.51%(厚生年金6.50%、国民年金6.63%)も上回りました。この上回った利率を金額に換算すると、9兆3800億円(厚生年金8兆7600億円、国民年金6200億円)にもなります。

 このように好調な年金積立金の運用や、厚生年金では被保険者数が想定より80万人も増えたことなどで、05年度は04年改正の前提では厚生年金、国民年金ともに収支が赤字で合計で3.8兆円の積立金を取り崩す見通しでしたが、逆に2.1兆円を積み増し、積立金残高は150兆円を突破しました。年金の支給は全く心配ありません。

出生率低下で50%は無理?

 出生率の前提は下回っていますが、実際に年金財政に影響が出るのは20年先。その間に出生率を上げればいいのです。それは十分に可能です。

 2004年改正の出生率の前提は、06年に1.31で底を打ち、その後、ゆるやかに回復して50年で1.39になるものでした。現在は1.26(05年)ですが、今後45年間に必要な対策を取ることで1.39まで回復することは十分に可能です。それ以上の出生率の回復も夢ではありません。

 フランスは税制優遇や各種手当など幅広い子育て支援策を実施することで、1994年から06年までの12年間で出生率を0.3以上押し上げ、遂に2.0を超えました。

 日本で今後0.3上がれば、1.56となり、04年改正の前提を優に上回ります。フランスにできて、日本にできないわけがありません。

 社会保障審議会の特別部会は先月、国民の結婚や出生に関する希望が実現した場合の出生率の試算を公表しました。

 それによると、希望がすべてかなった場合、40年時点の出生率は1.75に上昇。希望とのギャップが2分の1解消すれば1.50に、3分の1解消すれば1.40に回復するとの結果が出ました。

 少子化の流れを変えることは可能であるし、それは政治の責任でもあります。そのため公明党は子育て支援を社会保障の柱に据えるよういち早く訴え、児童手当や奨学金の拡充をはじめとする、わが国の少子化対策を切り開いてきました。

 出生率の改善には経済的支援や働き方の見直しなど幅広いアプローチが必要であり、公明党は昨年(2006年)4月、具体的な“処方せん”として、「少子社会トータルプラン」を発表しました。

出生率の回復は可能
経済や女性の社会参加など 前提満たす対策を着実に


制度の見直しが必要では?

 前提をことさらに厳しくして制度を見直すと、保険料をさらに引き上げるか、給付をさらに抑制することになります。大切なのは、前提となる出生率や経済などを良くしていくことです。

 04年改正は、従来の5年ごとの見直しを前提とした改革ではなく、急速な少子高齢化を見据え、2100年までの年金財政の安定を見通した抜本改革です。

 単純に考えれば、少子高齢化で年金の受給者1人を支える現役世代の人数が現在の3人から2人、1人へと減っていくことは、保険料を2倍、3倍に上げるか、給付を2分の1、3分の1に下げないと年金財政のバランスが取れません。

 しかし、これでは生活できません。公明党はいかにして庶民の暮らしを守るかに全力を挙げ、年金100年安心プランを打ち立てました。

 同プランの特徴は、現役世代の保険料に上限(17年度以降、厚生年金は18.3%、国民年金は月1万6900円=04年度価格)を設けて、負担に歯止めをかけたことが一つ。

 二つ目は、給付水準は現状よりは徐々に低下するものの、モデル世帯で現役世代の手取り収入の50%以上という下限を設け、物価スライド以外では年金額自体は減らないよう設計したこと。

 三つ目は保険料負担の上限と給付の下限を維持できるよう、基礎年金の国庫負担を3分の1から、2分の1に引き上げるとともに、積立金を取り崩すという政策転換によって、新たな巨額の給付財源を確保したことです。

 保険料は17年度まで毎年、引き上げられますし、足下の出生率が実際に年金財政に影響が出てくるのは20年先です。百歩譲っても、ここ10年、20年は年金支給は全く心配いりません。

 マスコミが「前提が甘い」などと批判しますが、前提をことさらに厳しく見積もると、より一層の保険料の引き上げや給付の削減につながり、国民生活は大きな打撃を受けます。少子化対策や経済成長、雇用改革、男女共同参画を着実に前に進めれば、100年安心プランは盤石です。

「支給開始67歳」との報道は?

 そんな方針など政府・与党には全くありません。65歳への段階的な引き上げを行っている最中であり、検討もしていません。

 一部で報道されたようですが、政府・与党がそのようなことを検討しているという事実は全くありません。

 現在、厚生年金の支給開始年齢は65歳へ段階的に引き上げている最中であり(男性は25年度、女性は30年度に完了)、こうした状況下でさらに支給開始年齢の引き上げを議論すること自体、全くおかしな話です。

 むしろ、高齢者が意欲と能力に応じて働き続けられる雇用環境の整備こそが先決です。公明党は定年の引き上げや継続雇用制度の導入などで、65歳まで働き続けられる環境整備を事業主に義務づける改正高年齢者雇用安定法を成立させました。

 さらに今後、「70歳まで働ける企業」の普及に取り組みます。今国会では、労働者の募集・採用にかかる年齢制限を禁止する雇用対策法の改正をめざします。

民主の改革案こそ問題では

 その通りです。自分の案に確信がないから、財源は迷走。「3%の年金目的消費税」はどこに行ったのか! 矛盾と混乱を増すだけの無責任な案です。

 民主党の年金改革案は従来から問題だらけでしたが、加えて昨年12月、突然に内容を変更し、信念なき無責任な姿勢を露呈しています。民主党は過去の国政選挙のマニフェストで、最低保障年金(月6.6万円程度)の財源として、現在の消費税5%とは別に、税率3%の年金目的消費税を創設すると国民に約束し、政府・与党の改革案を批判してきました。

 ところが、民主党が昨年(2006年)12月にまとめた「政権政策の基本方針」では、「年金目的消費税」をあっさり捨て去り、国民への公約は“白紙”に。理由は「消費増税を打ち出せば、参院選を戦えない』と判断したためだ」(朝日新聞06年12月9日付)。

 しかも、同基本方針では年金改革について、抽象的な原則を示すだけで、「速やかに具体的な制度設計を行う」と具体案が示せていないことを自ら宣言。一体、いつになったら責任ある対案を示すのか。選挙目当てでマニフェストさえコロコロ変える“腰砕け政党”に日本は任せられません。