憲法改正の手続きを定める国民投票法が、2007年5月14日午前の参院本会議で自民、公明の与党両党などの賛成多数で可決、成立した。
民主党から1人が造反し賛成したほか、4人が欠席した。1947年の憲法施行以来、初めて、憲法96条に定められた改正の手続きを具体化するものであり、国民主権を実質化する法律が制定された。
施行は3年後の2010年だが、同法の成立を受けて、夏の参院選後の次の国会で衆参両院に、憲法改正原案の審査や憲法全般に関する質疑などを行う憲法審査会が設置される。3年間は改正原案の提出・審査はできないが、同審査会の場で本格的な憲法論議がスタートすることになる。
同法は、公明党の主導で中立公平なルールとなっており、主な内容は、(1)投票の対象を憲法改正に限定(施行後に憲法改正についての予備的国民投票を検討)(2)公務員・教育者の地位を利用した国民投票運動の禁止(罰則は設けていない)(3)投票は「賛成」「反対」を「〇」で囲む方式で行い、有効投票総数の過半数の賛成で承認(4)憲法改正案の発議は、憲法全文一括ではなく、内容において関連する事項ごとに区分して行う――など。
投票権年齢については、公明党が主張してきたように原則18歳以上と規定。これに伴って同法の施行までに、選挙権年齢や成人年齢などについて検討し、必要な措置が講じられるまでは20歳以上に据え置く。
一方、一定の投票率に達しないと投票結果が無効になる最低投票率に関する規定は、憲法上の疑義やボイコット運動を誘発する恐れなどから、設けられていない。
国民投票法をめぐっては、2001年11月に超党派の憲法調査推進議員連盟が法案を作成。その後、2004年12月に与党協議会が実務者のまとめた法案骨子を了承した。2005年9月には衆院憲法調査特別委員会が設置され、与党と民主党で法案の共同提案に向けて協議を重ねたが実現せず、2006年5月にそれぞれ法案を国会提出した。
この間、公明党は民主党などを含めた合意形成を主張。与党案と民主党案の提出後も、自民、公明、民主の3党協議が続けられ、2006年12月には3党でほぼ合意を得た修正案ができたが、民主党が党利党略によって選挙での野党共闘を優先して方針転換。やむなく与党は2007年3月27日、民主党の主張を大幅に盛り込んだ与党修正案を国会に提出し、成立に至った。
国民投票法の骨子
一、国民投票の対象を憲法改正に限定
一、投票年齢は原則18歳以上
一、施行は公布の3年後
一、有効投票総数の過半数で改正案を承認
一、公務員・教育者の地位を利用した運動を禁止。罰則は設けず
一、投票日前14日間はテレビなどの有料CMを禁止
一、放送事業者は国民投票に関する放送の政治的公平性に留意 |