改正案では、要支援と要介護1の軽度者の中で要介護状態の改善の可能性が高い人を対象者に選び、「新予防給付」を提供する。現行の要介護1は<図>のように、新予防給付の対象となる要支援者と、介護給付の対象となる要介護者に分かれることになる。
新予防給付で要介護状態の改善または重度化防止を進める一方、要支援・要介護になる恐れのある人を対象に効果的な介護予防事業を提供する「地域支援事業」を創設し、これによって要介護状態になること自体を防ぎ、自立した生活を継続できるようにする。
このように2段階で介護予防を推進する。
負担のあり方など
きめ細かな保険料設定に
要介護認定事務を見直し
65歳以上の高齢者が支払う第1号保険料が、負担能力をきめ細かく反映した設定に変わる。
特に、現行の第2段階(市町村民税が世帯非課税)を細分化し、年金収入が年80万円以下で他に収入がない低所得者には、より低い保険料率を設定する。具体的な保険料率は市町村が決める。
また、第1号保険料の徴収方法が見直され、特別徴収(年金からの天引き)の対象を遺族年金や障害年金にも広げる。
今回の改正では、要介護認定事務も見直され、高齢者が初めて認定調査を受ける場合は、原則として市町村が調査を実施し、ケアマネジャーや介護保険施設への委託は認められなくなる。過度な需要の掘り起こしを防ぐのが狙い。
施設給付の見直し
居住費・食費は保険対象外に
ただし低所得者には十分配慮
在宅と施設の利用者負担の公平性を確保するとともに、介護保険と年金保険の給付の重複を是正する観点から、特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設入所者の居住費と食費を介護保険の対象外とする。
給付の効率化を進め、介護予防の効果と併せ、保険料の上昇を抑制する。厚生労働省の試算では第1号保険料は、現行制度のままだと月3300円(全国平均月額)から2012年度には月6000円に上がってしまう。それが改正の効果が最も出た場合、4900円に抑制できるという。
改正案では全般的に施設入所者の自己負担は増大するが、公明党の要請を受け、年金が年80万円以下で他に収入がない低所得者(第1号保険料の新第2段階)の自己負担はむしろ軽減される<図参照>。
また、第1〜新第3段階では、居住費・食費を保険の対象外とすることで負担が急激に上がらないよう、負担に上限が設定される。
新たなサービス体系
地域密着型サービスを創設
地域包括支援センターを設置
今後、認知症(痴ほう症)高齢者が大幅に増加することを踏まえ、高齢者ができる限り住み慣れた地域で尊厳性を保ちながら生活を継続できるよう、新たなサービス体系を導入する。
認知症高齢者は住む環境が変わったり、長年培ってきた人間関係が断絶してしまうと状態が悪化することが指摘されている。住み慣れた地域での生活の継続は重要な課題だ。
改正案では新たなサービス体系として、地域密着型サービスの創設や、総合的な相談窓口機能をもつ地域包括支援センターの設置などを打ち出している。
地域密着型サービスとは、「通えて、泊まれて、家にも来てくれて、いざとなったら住むこともできる」小規模多機能サービス拠点や夜間対応型訪問介護などで、これらの普及をめざす。
質の確保・向上
事業者に情報開示を義務づけ
事業者指定に更新制を導入
利用者の適切な選択のもとで、良質なサービスが提供されるよう、事業者の情報開示の徹底と規制の見直しを行う。
情報開示は、すべての介護サービス事業者にサービスの内容や運営状況に関する情報の公表を義務付ける。
事業者規制の見直しに関しては、事業者指定に更新制(6年ごと)を導入するほか、都道府県(地域密着型サービスは市町村)の権限に事業者に対する(1)業務改善命令(2)事業者指定の停止命令(3)当該処分の公表――などを追加する。
そのほか、ケアマネジャー資格に更新制(5年間)が導入され、更新時の研修が義務化される。
関連する改革
特養入所者の軽減措置を延長
介護・福祉空間整備に交付金
高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、生活圏域を単位として、介護予防拠点や地域密着型サービス拠点を整備することを支援するとともに、特別養護老人ホームなどの施設整備や改修を支援する「地域介護・福祉空間整備等交付金」を、2005年度から創設する。
そのほか、介護保険法の施行前に市町村の措置で特別養護老人ホームに入所していた人に対して、施行後5年間に限り、利用料と食費の合計額が法施行前の費用徴収額を上回らないよう負担軽減措置が講じられているが、公明党の主張を受け、軽減措置をさらに5年間延長する法案が別途、国会に提出されている。対象者は約6万8000人(特養ホーム入所者の約2割)。 |