公明新聞:2005年10月17日付 |
| 障害者福祉を大きく前進させる障害者自立支援法案が先週、参院を通過しました。今週から衆院での審議に入りますが、同法案によって障害者福祉がどう変わるのか、主な疑問の声を中心にまとめました。 この法案で障害者福祉はどう変わるのか 現在の支援費制度では対象になっていない精神障害者を含めて福祉サービスを一元化し、障害の種類にかかわらず、地域で自立して生活するために必要なサービスを、平等に受けられるようになります。 またこの法案によって、在宅サービスに関する国の負担が義務的なものとなり、しっかりと予算が確保されるようになります。一方で、一定の所得のある利用者には応分の負担(原則として1割、所得に応じて減免)をしてもらい、多くの人の支え合いで、将来にわたり持続可能な制度にしていきます。 サービスを必要とする障害者は今後、さらに増えていくと見られています。この法案は、より多くの人が必要な支援を平等に受けられる、ユニバーサル(普遍的)な仕組みを構築するための大きな一歩になります。 支援費制度スタートから2年で、なぜ大きな改革をするのか 支援費制度によって、より多くの障害者が新たにサービスを利用できるようになった点などは評価できます。 同制度で確立された「自己決定」「自己選択」の理念は、この法案に引き継がれます。 その一方で、(1)利用の伸びに国の予算が追いついていかない(2)提供されるサービスの水準は地域間格差が大きい(都道府県比較でも7倍超)(3)そもそも精神障害者が対象となっていない――など課題があることも事実です。 このような課題を解決し、障害者の自立した地域生活への支援を一層進めるため、法案が国会に提出されています。 応益負担(定率負担)の導入は考え直すべきではないか 今回の見直しは、支援費制度の導入後、サービスの利用が急速に拡大する中で、今後の新たなサービス利用者に対しても必要なサービスを確保できるよう考案されています。そのため、必要な費用は皆で支え合い、障害者の自立生活を支援する持続可能なシステムの確立を提案しています。 定率負担を求めるに当たっては、障害者の収入の状況等に十分配慮し、負担の減免措置を講じています。さらに与党として、他の制度以上にきめ細かに配慮するよう政府に改正を求めました。 その結果、障害年金以外にほとんど収入・資産のない人については、(1)月収6・6万円以下では定率負担をゼロとし、食費等の実費負担のみにする(個別減免=入所施設・グループホーム利用者対象)(2)社会福祉法人が減免することにより、月額上限を半分にする(社会福祉法人減免=地域で暮らす障害者が対象)――などの特別な仕組みが設けられ、いっそう細かな配慮が行われることになりました。 同一世帯の親・兄弟らに負担を求めるべきではない 法案では、本人と扶養義務者に課せられていた費用負担の取り扱いを改め、利用者本人のみを法律上の負担義務者とすることとしています。 その上で、負担を軽減する際の基準は、生計を一にする世帯全体の負担能力により設定することが提案されていました。 この世帯の範囲について公明党は、障害者の要望を受け止め、障害者本人の所得を基本とすべきと政府に提案。先の通常国会でも与党として、衆院厚労委員会の審議の中で訴えました。 その結果、生計を一にする世帯の所得で決定することを基本としますが、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟等がいる場合であっても、その人たちが税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しない場合は、障害者本人および配偶者の所得に基づくことも選択できるようになりました。 |
| 障害者の所得保障をしてほしい 障害者の所得保障は、障害者の地域における自立した生活を支える上で重要な問題です。 年金制度や各種手当を直ちに大きく改革することは国の財政状況などからしても制約がありますが、公明党としては、障害者が能力や適性に応じて働けるよう就労支援を進めながら、障害者の所得保障の在り方について検討することが必要と考えています。 そのため与党として法案を修正し、所得保障について検討する規定を加えました。 サービス決定に障害者の意向は反映されるのか 市町村がサービスを決定する場合には、事前に障害者一人ひとりに面接調査を行います。 その調査を基に、支援の必要度を表す「障害程度区分」を審査会(市町村に設置)の審査を経て決めます。 これに加えて、本人のサービスの利用意向や、介護者の状況などをよく聴いた上で、市町村がサービスを決定します。 さらに公明党の主張により審査会の委員は、障害保健福祉の有識者で、中立かつ公平な審査が行える人であれば、障害者を委員に加えることが望ましいことを国が市町村に助言することになりました。 重度障害者のサービス水準は低下しないか この法案は、「重度障害者等包括支援」「重度訪問介護」など、特に重度の障害者が地域で暮らせるよう新たな給付を創設します。 これらのサービスの内容や国庫負担基準などについては現在、政府が検討しています。 公明党は、現在のサービス利用の実態を踏まえつつ、適切な基準とするよう一貫して要望してきました。今国会においても政府に強く訴え、「利用者に大きな変化が生じることがないよう検討する」との厚労省の局長答弁を引き出しています。 引き続き重度障害者のサービス確保を政府に強く働き掛けていきます。 移動支援やコミュニケーション支援はどうなる 移動支援は、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な形態での実施が可能となるよう、市町村の地域生活支援事業に位置付けています。 その上で、同事業の重要性を踏まえ、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業となります。さらにその費用は、支援費と同様に国、都道府県が補助できる規定が設けられ、より多くの自治体で必要なサービスが受けられるようになります。 また、手話通訳や要約筆記などのコミュニケーション支援についても、市町村の義務的な事業として、地域生活支援事業に位置付けられます。 グループホームなどに現在、入居している場合、障害程度で振り分けないでほしい 現在、知的障害者が入居するグループホームでは、外部の事業者から責任関係があいまいなまま入所者へのサービスが提供されるケースもあり、見直しが必要とされています。 そのため、この法案では、現在のグループホームを、介護が必要な人を対象とする「ケアホーム」と、就労している人などを対象とする「グループホーム」に分け、入居者一人ひとりに適切なサービスを行うことにしています。 一方で、現にさまざまな障害程度の人が同居している実態があることから、事業者が責任を持って利用者一人ひとりにふさわしいサービスを行うことを条件に、グループホームとケアホームの対象者の同居や、事業者によるサービスの外部委託(一部)が認められることになりました。 |
| 現在の精神通院公費医療、更生医療、育成医療を存続してほしい 障害者の公費負担医療については、今後とも必要な医療を確保するため、国の負担を明確にするとともに、費用を皆で支え合うことで、持続可能な制度にするものです。 その際、特に低所得者や障害程度が重度で、かつ継続的に医療費負担が生じるなど、家計に与える影響が大きいケースに対し、無理のない負担となるよう配慮し、所得に応じた負担上限を設定しています。 公明党は、上限設定について、障害者の自立の観点から、世帯ではなく個人単位の所得で設定すべきだと主張。 その結果、原則として加入している医療保険が異なる家族は別世帯として扱うことになったほか、福祉サービスと同様、一定の条件のもとで障害者本人および配偶者の所得に基づくことも選択できるようになりました。 また、18歳未満の心臓疾患患者などを対象とする育成医療に関して公明党は、今国会で、高額医療費の負担をさらに軽減するよう主張。 その結果、住民税課税で所得税額が30万円未満の中間所得層に対し、2種類の新たな上限額が設けられ、大幅に負担が軽減されることになりました。 働く場で利用料を払うのは矛盾を感じる 政府提出の法案で就労に関する事業は、他の福祉サービスを利用した場合と同様に、利用料を負担することになっていましたが、公明党の主張により、雇用型の就労継続支援事業については、事業者の判断で事業者の負担により利用料を減免できる仕組みが導入されることになります。 また、社会福祉法人による減免と、その公費助成の仕組みが、就労支援の通所サービスにも設けられることになりました。これにより、収入や資産の少ない人の場合、月額の負担上限が半分になります。 働く場を増やしてほしい 障害者が地域で自立して暮らしていくためには、「働く」ことが非常に重要です。そのため、この法案では、就労のための訓練を行う「就労移行支援事業」を創設することなどにより、「働きたい」障害者をサポート(支援)していきます。 また、先の通常国会では公明党の主張を反映して障害者雇用促進法が改正され、精神障害者を雇用率(全従業員の中で障害者が占める割合)の対象にすることになりました。 小規模作業所は、どうなるのか 小規模作業所は、地域で暮らす障害者の重要な支えになっています。 そのため、この法案により事業体系の再編が行われますが、良質なサービスを提供する小規模作業所は、NPO(民間非営利団体)法人等の法人格を取得することなどで、法案の内容に沿う事業所として認定され、活躍できるようになります。 さらに、この法案に基づく事業所への移行が促進されるよう、小規模作業所等の充実強化を図るための事業が今年度から創設されるとともに、今後、都道府県の障害福祉計画に基づいて、計画的に推進されます。 |