バックナンバーNO9

政治学習のために/医療制度改革大綱Q&A
公明新聞:2005年12月06日付 

 医療制度改革大綱が1日の政府・与党医療改革協議会で決定しました。そこで改革の必要性や改革の中身、公明党の主張点などをQ&A形式でまとめました。

なぜ、医療制度改革は必要なのか?

 背景には急速な少子高齢化の進展があります。厚生労働省の推計によると、現在約32兆円の国民医療費は、2025年度には65兆円まで膨らむと予想されています。

 医療費の伸びを放置していれば、日本が世界に誇る国民皆保険制度が崩壊する恐れがあるため、坂口力厚労相(公明党)時代の03年3月に医療制度改革の基本方針をまとめ、同年4月に勤労者の医療費自己負担を2割から3割に引き上げた時に制度の“抜本改革”を約束したことが今回の「大綱」の決定につながったのです。



大綱の主なポイントは?

 大綱では、国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものとしていくため、財政や制度の改革だけでなく、医療に対する信頼を確保し、安全性や質の高い医療サービスの提供を目指しています。そして「治療重点の医療」から「予防重視への転換」をうたっています。

 最重要課題には「安心・信頼の医療の確保」を掲げ、へき地や特定診療科の医師不足への対応や、患者が医療機関を選ぶための情報を都道府県が提供する制度の創設などが盛り込まれています。

 予防重視では、都道府県の健康増進計画の充実や、生活習慣改善に向けた普及啓発の推進のほか、健診や保健指導を義務化し、取り組みを強化します。

 2つ目には、「医療費の適正化」を掲げました。そのため都道府県は国の基本方針のもと、糖尿病などの患者・予備軍の減少や平均在院日数の短縮に関する政策目標を定め、医療費適正化計画(5年間)を策定します。特に国民医療費の約3割を占める生活習慣病の予防対策を強化することで将来的に医療費を抑制したい考えです。ただ、効果が出るまでに15年から20年かかることから、短期的な抑制策を併せて打ち出しています。

 3つ目の柱には、「新たな医療保険制度体系の実現」を掲げ、75歳以上が加入する高齢者医療保険制度を08年度に創設します。運営は、財政リスクを懸念する市町村に配慮し、保険料徴収を市町村が行い、財政運営は都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行います。


医療費の窓口負担はどう変わる?

 高齢者の現在の窓口負担は、69歳までが3割、70歳以上は現役並み所得者(夫婦2人で年収620万円以上)が2割、中低所得者は1割。特例で3歳未満は2割に軽減しています。

 今回の大綱では、来年(2006年)10月から70歳以上の現役並み所得者(同、08年8月からは同520万円以上)の窓口負担割合を2割から3割に引き上げます。また、70歳以上の長期入院患者の食費・居住費は低所得者に配慮しつつ、自己負担に切り替えます。急性期医療を受ける一般病床の入院患者に食費・居住費負担を求めることは公明党の反対で見送られました。

 08年度からは、中低所得の70―74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げます。ただし、低所得者については公明党の主張が実り、年収が年金80万円以下の低所得者や、住民税非課税世帯については、自己負担額の上限は今まで通りで、外来の場合、月額8000円が据え置かれます。

 69歳以下は現行通り3割、75歳以上は1割負担を維持します。


公明党が主張し実った項目は?

 財務省が主張していた一定額の医療費を保険給付対象から外す保険免責制の導入は「国民皆保険の理念に照らして容認できない」との公明党の強い反対により見送られました。

 また、入院医療費の患者負担については、本人負担分だけを窓口で払えばよい受領委任払いの実現を求めた公明党の提案を受け、窓口での支払いを自己負担限度額にとどめることを検討することになったほか、医療保険事務の効率化や医療費の透明化を進めるため、11年度当初から原則としてすべてのレセプト(診療報酬明細書)がオンラインで提出されます。

 さらに、少子化対策の視点から、出産育児一時金を現行30万円から35万円へ引き上げる一方、乳幼児医療費の自己負担2割の対象年齢を3歳未満児から義務教育就学前まで拡大するなど、数多くの公明党のキメ細かな要求が盛り込まれました。

大綱に反映された公明党の主な主張

○出産育児一時金を35万円にアップ
○負担軽減(2割)を未就学児まで拡大
○保険免責制の導入を除外
○受領委任払いを検討
○一般病床の食費・居住費負担を見送り
○低所得者の自己負担限度額を据え置き
○診療報酬明細書のオンライン化を推進